【2025年4月施行】退職者増加ってホント？事業主が知っておくべき雇用保険改正と人材戦略

2025年3月18日 2025年3月18日

三城泰代

2025年4月、雇用保険法が大きく改正されることをご存じでしょうか？

この改正は、従業員のキャリアプランだけでなく、企業の皆様の人材戦略にも大きな影響を与える可能性があります。

『うちの会社も退職者が増えるのでは？』そんな不安を感じている事業主の方も少なくないはず。

この記事では、改正のポイントをわかりやすく解説し、企業が取るべき人材戦略についてお伝えします。

今回の改正は、従業員がもっと自由に、そして安心してキャリアを築けるようにするためのもの。

具体的には、

この2つが大きなポイントです。

今までは、自己都合で退職した場合、失業給付をもらうまでに少し時間がかかっていました。でも、2025年4月からは、この期間が短くなります。

これによって、従業員は「次の仕事が見つかるまでの生活費が心配…」という不安が軽減され、転職やキャリアチェンジに挑戦しやすくなるかもしれません。

特に注目すべきは、教育訓練受講による給付制限の解除です。

この制度は、働きながらスキルアップを目指す従業員にとって、非常に魅力的な選択肢となります。

例えば、会社で働きながらプログラミングスクールに通い、その後転職を決意した場合、ハローワークでの手続き後、7日間の待機期間を経れば、すぐに失業給付が開始される可能性があります。

これは、従業員が経済的な不安なく、次のキャリアに向けて集中できる大きなメリットとなります。

対象となる教育訓練は、職業能力の開発・向上を目的とした専門性の高い講座です。

具体的には、IT関連、語学、医療・介護、会計・経理などが挙げられます。一方で、趣味や教養を深めるための講座は対象外となります。

今回の改正は、従業員にとってキャリアの選択肢が広がる良い機会である一方で、企業にとっては人材流出のリスクが高まる可能性も。

特に、

このような企業は、人材流出のリスクが高まります。

では、企業は具体的にどんな対策をすれば良いのでしょうか？

従業員のキャリアプランを応援する
- 定期的なキャリア面談の実施、個別キャリアプラン作成支援、社内外研修・資格取得支援制度の拡充
教育訓練の機会を提供する
- 従業員ニーズに合わせた研修プログラムの開発、オンライン学習プラットフォームの導入、外部専門機関との連携によるスキルアップ支援
従業員が働きがいを感じられる環境を作る
- 風通しの良い職場環境の整備、成果に基づいた公正な評価制度の導入、チームビルディングを促進するイベントやワークショップの実施
従業員の市場価値を適切に評価する
- 市場給与水準調査の定期実施、スキル・貢献度に応じた報酬体系の見直し、キャリアパスに連動した昇給・昇格制度の確立
従業員とのコミュニケーションを密にする
- 定期的な1on1ミーティングの実施、キャリアプランや不安に関する個別相談窓口の設置、社内SNSや意見交換会の活用による双方向コミュニケーションの促進

2025年4月からの雇用保険法改正は、企業の人材戦略を見直す良い機会です。

従業員のキャリア自律を支援し、働きがいのある職場環境を整備することで、人材の定着と企業の成長を両立させることができます。

変化を恐れず、前向きに対応していくことで、企業も従業員も、より良い未来を築いていきましょう！