副業時の残業計算ガイド|トラブルを防ぐためのポイント

title

副業解禁時代、残業計算で困っていませんか?

働き方改革が進み、副業を認める企業が増える一方で、残業時間の計算は複雑になっています。「うちの会社は大丈夫かな…」と少しでも不安を感じたら、ぜひこの記事を読んでみてください。

副業に関する残業時間の計算は、法律で定められたルールに則って行う必要があります。もし間違ってしまうと、従業員とのトラブルや、最悪の場合は訴訟に発展する可能性も。

この記事では、

  • 副業時の残業計算の基本ルール
  • 具体的な計算例
  • トラブルを防ぐための注意点

を、わかりやすく解説します。

「難しそう…」と感じるかもしれませんが、ご安心ください。難しい法律用語は使わず、具体的な例を交えながら、あなたの会社の状況に合わせて説明していきます。

1. 副業時の残業計算の基本ルール

まずは、副業時の残業計算の基本ルールを確認しましょう。

1-1. 労働時間通算の原則

労働基準法では、「労働時間通算の原則」というものが定められています。これは、複数の会社で働いている人の労働時間を合算して、労働時間を計算するというルールです。

たとえば、A社で1日6時間、B社で1日4時間働いている場合、その日の労働時間は合計10時間となります。

1-2. 法定労働時間と残業時間

労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える労働を「法定労働時間」と定めています。そして、この法定労働時間を超えた労働に対しては、割増賃金(残業代)を支払う必要があります。

つまり、副業をしている従業員の残業時間を計算する際には、副業先の労働時間も含めて、1日8時間、週40時間を超えていないかを確認する必要があるのです。

1-3. 割増賃金の計算方法

割増賃金の計算方法は、労働基準法で以下のように定められています。

  • 時間外労働(1日8時間、週40時間を超える労働):2割5分以上の割増率
  • 深夜労働(午後10時から午前5時までの労働):2割5分以上の割増率
  • 休日労働(法定休日の労働):3割5分以上の割増率

たとえば、時給1,200円の従業員が、1日に2時間の時間外労働をした場合、残業代は以下のように計算します。

1,200円(時給)× 1.25(割増率)× 2時間 = 3,000円

2. 副業時の残業時間の具体的な計算例

次に、具体的な例を見ていきましょう。

例1:A社とB社で働く従業員の場合

従業員のXさんは、A社で1日6時間、B社で1日4時間働いています。

  • A社の労働時間:6時間
  • B社の労働時間:4時間
  • 1日の合計労働時間:10時間

この場合、1日の労働時間が8時間を超えているため、2時間分の残業代を支払う必要があります。

例2:A社と業務委託契約を結び、B社で働く従業員の場合

従業員のYさんは、A社とは業務委託契約を結び、B社で1日7時間働いています。

この場合、業務委託契約は労働契約ではないため、A社での労働時間は労働基準法の対象にはなりません。したがって、残業代はB社での労働時間のみで計算します。

  • B社の労働時間:7時間
  • 1日の合計労働時間:7時間

この場合、1日の労働時間は8時間以内であるため、残業代は発生しません。

3. トラブルを防ぐための注意点

副業時の残業計算でトラブルを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。

3-1. 就業規則の明確化

副業に関するルールや残業代の計算方法を、就業規則に明確に記載しておきましょう。これにより、従業員との間で認識の齟齬が生まれにくくなります。

3-2. 労働時間の正確な把握

従業員の労働時間を正確に把握するために、タイムカードや勤怠管理システムなどを導入しましょう。自己申告だけでなく、客観的な記録を残すことが重要です。

3-3. 労使間のコミュニケーション

副業に関するルールや残業代の計算方法について、従業員と十分にコミュニケーションを取りましょう。疑問点や不明点を解消し、お互いが納得した上で制度を運用することが大切です。

3-4. 行政(労働基準監督署)や社会保険労務士への相談

副業時の残業計算は、複雑なケースもあります。判断に迷う場合は、行政(労働基準監督署)や社会保険労務士などに相談することをおすすめします。

4. 副業を応援する企業を目指して

副業は、従業員のスキルアップやモチベーション向上につながる可能性もあります。企業として、副業を認め、応援していく姿勢も大切です。

ただし、そのためには、法律に則った適切な残業管理が不可欠です。この記事を参考に、あなたの会社でも、従業員が安心して副業できる環境づくりを目指してください。

労働時間ルールが変わるかも?!

いかがでしたでしょうか? 副業時の残業計算は、一見複雑に見えますが、基本ルールをしっかりと理解すれば、適切に対応できます。

近年、規制改革推進会議では、副業・兼業の更なる促進に向け、労働時間ルールの見直しに関する議論が行われています。これは、多様な働き方を支援し、労働者がより柔軟な働き方を選択できる社会を目指すものです。今後の法改正動向に注目し、必要に応じて就業規則や労働時間管理体制の見直しを検討しましょう。

この記事が、あなたの会社の人事労務管理の一助となれば幸いです。