【実践編】法改正の議論を見据えて。今から検討したい「社内整備リスト案」(全6回連載・最終回)

※本記事に関する重要なお知らせ※
本記事は、2025年11月に厚生労働省「労働基準関係法制研究会」より公表された報告書の内容に基づき執筆しています。
解説内容は現時点での「提言」や「検討の方向性」であり、決定事項ではありません。
今後の法改正議論の参考としてお読みください。
全6回にわたり、2026年に向けた労働基準法改正の議論について解説してきました。
最終回となる今回は「実践編」です。
報告書で示された方向性が現実のものとなった場合、直前になって慌てないために、今から自社でどのような検討を始めておくべきか?
具体的な「準備リスト(ToDoリスト)」としてご提案します。
1. 勤怠管理の現状把握とシステム検討【システム編】
最も時間がかかるのがシステムの入替や設定変更です。
まずは現状のデータが「見える化」されているか確認しましょう。
システム・勤怠データ チェックリスト
勤務間インターバルの把握
退勤から翌出勤まで「11時間」未満のケースが、誰に・何回起きているか集計できるか?
連続勤務日数のアラート
14日以上の連勤が発生しそうな時、本人や管理者に警告が出る設定になっているか?
副業時間の管理機能
副業者の労働時間を入力・管理できる枠組み(またはシステム上の項目)があるか?
休日出勤の振替記録
振替休日がいつ取得されたか、システム上で正しく紐づけられているか?
2. 就業規則・労使協定の確認事項【ルール編】
会社のルールブックである就業規則。
古いまま放置されていると、法改正に対応できないだけでなく、思わぬ労務トラブルの原因になります。
就業規則・ルール チェックリスト
法定休日の特定(明確化)
「土日のうちいずれか」等の曖昧な運用ではなく、「日曜日」や「シフト表であらかじめ特定する」等、法定休日を明確にする方法を検討する。
副業・兼業規定
自社の方針(許可制・届出制、または禁止)と規定の内容が合致しているか?
禁止・制限を行う場合は、情報漏洩防止や競業避止といった合理的な理由が整理されているか確認する。
36協定の内容
実態とかけ離れた残業時間を設定していないか? 特別条項の運用は適切か?
「つながらない権利」への配慮
勤務時間外のメールやチャット連絡について、社内ルール(原則返信不要など)はあるか?
3. 現場の意識醸成と体制づくり【人・組織編】
制度やシステムを作っても、運用するのは「人」です。
特に管理職の意識改革がカギを握ります。
組織・マネジメント チェックリスト
管理職への教育
「長く働く=偉い」という古い価値観を払拭し、「休ませる=有能」という評価軸を導入しているか?
属人化の解消(多能工化)
特定の人しかできない業務を減らし、誰かが休んでもチームでカバーできる体制を作っているか?
採用戦略への反映
「インターバル制度あり」「連勤なし」など、ホワイトな働き方を求人票でアピールできているか?
4. 社労士事務所ぽけっとからのメッセージ
今回の報告書で示された内容は、企業にとっては「規制強化」に見えるかもしれません。
しかし、これらは全て「従業員が長く健康に働き続けるため」に必要な措置です。
人口減少時代において、「人を大切にする会社」でなければ生き残れないのは明白です。
法改正対応を「面倒な義務」と捉えるのではなく、業務効率化と採用力強化のための「絶好の機会」と捉えてみてください。
社労士事務所ぽけっとでは、給与計算や社会保険手続きだけでなく、こうした法改正を見据えた労務相談や、就業規則の診断も承っております。
「まずは何から手を付ければいい?」という段階でも構いません。お気軽にお声がけください。
【免責事項】
本記事は、2025年12月7日時点で公表されている厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書」等の情報に基づき作成しています。記事内で紹介している法改正の方向性や内容は現時点での提言であり、今後の国会審議等を経て変更される可能性があります。本記事の情報を用いて行う一切の行為について、当事務所は何ら責任を負うものではありません。具体的な実務対応にあたっては、最新の公式情報を確認するか、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。


