【2025年4月施行】出生後休業支援給付金とは?支給要件や手続きをわかりやすく解説

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1.出生後休業支援給付金とは?(制度の概要)

出生後休業支援給付金は、2025年4月から開始される、夫婦がともに育児休業を取得した場合に、育児休業給付金に上乗せして支給される給付金です。この給付金により、夫婦が協力して育児に専念できる環境づくりを後押しし、少子化対策に貢献することが期待されています。

2.支給要件

「出生後休業支援給付金」を受け取るには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 被保険者(従業員)が、対象期間中に、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を、通算して14日以上取得していること。
  2. 被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に、通算して14日以上の育児休業を取得していること、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。

...ちょっと難しいですね。もう少し噛み砕いて説明しましょう。

支給対象となる期間(対象期間)

まず、「対象期間」とは、以下のいずれかの期間を指します。

  • 被保険者が産後休業をしていない場合(お父さんの場合や、お子さんが養子の場合):「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間
  • 被保険者が産後休業をした場合(お母さんの場合で、お子さんが養子でない場合):「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までの期間

例えば、お子さんの出生日が2025年4月10日の場合、お父さんの対象期間は2025年4月10日から2025年6月4日まで、お母さんの対象期間は2025年4月10日から2025年8月6日までとなります。

配偶者の育児休業を要件としない場合

上記2の要件にある「配偶者の育児休業を要件としない場合」とは、具体的にどのようなケースでしょうか?以下のいずれかに該当する場合は、配偶者が育児休業を取得していなくても、被保険者が「出生後休業支援給付金」を受け取ることができます。

  1. 配偶者がいない場合
  2. 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない場合
  3. 被保険者が配偶者から暴力を受けて別居している場合
  4. 配偶者が無業者の場合
  5. 配偶者が自営業者やフリーランスなど、雇用される労働者でない場合
  6. 配偶者が産後休業中の場合
  7. 1~6以外の理由で、配偶者が育児休業をすることができない場合

特に、お父さんの場合は、お子さんが養子でなければ、上記4~6のいずれかに該当することが多いため、配偶者であるお母さんの育児休業取得状況は要件になりません。

3.支給額

さて、気になる支給額ですが、以下の計算式で算出されます。

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(上限28日) × 13%

  • 休業開始時賃金日額:原則として、同一の子に係る最初の出生時育児休業または育児休業の開始前6か月間に支払われた賃金の総額を180で除して得た額です。
  • 休業期間の日数:出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業の取得日数で、上限は28日です。

つまり、最大で28日分の賃金の13%が、「出生後休業支援給付金」として支給されることになります。

手取り10割相当の給付

育児休業中は、健康保険料や厚生年金保険料が免除され、給与が支給されない場合は雇用保険料の負担もありません。また、育児休業給付は非課税です。そのため、休業開始時賃金日額の80%の給付率である出生時育児休業給付金または育児休業給付金と合わせて、「出生後休業支援給付金」が支給されることで、手取り10割相当の給付となるケースが多いです。

ただし、休業開始時賃金日額には上限額が設けられていますので、ご注意ください。

4.支給申請手続き

「出生後休業支援給付金」の支給申請は、原則として、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給申請と併せて行います。同一の支給申請書を用いて申請するため、従業員の方への案内もスムーズに行えるでしょう。

もし、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の申請後に出生後休業支援給付金の支給申請を別途行う場合は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給された後に申請する必要があります。

申請の際には、支給要件を満たしていることを証明するために、以下のいずれかの情報の記入、または書類の添付が必要です。

  • 配偶者の被保険者番号
  • 配偶者の育児休業開始年月日
  • 配偶者の状態

どの情報が必要になるかは、ハローワークの窓口や、パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」で確認するようにしましょう。

5.事業主の皆さまへ

出生後休業支援給付金は、従業員の方の育児休業取得を後押しし、仕事と育児の両立を支援するための制度です。制度の内容をしっかりと理解し、従業員の方が安心して育児休業を取得できるような職場環境づくりに努めましょう。