転職者も入社すぐから対象に!「育児時短就業給付」活用で人材確保と定着を支援

「子育て中の優秀な人材を採用したいけど、すぐに時短勤務を希望されたらどうしよう…」
「育児関連の制度は複雑で、正直よく分からない…」
人材確保や定着に頭を悩ませる事業主様、人事担当者様は多いのではないでしょうか。特に、育児と仕事の両立を支援する制度は、従業員のエンゲージメントを高め、企業の魅力を向上させる上で非常に重要です。
今回は、そんな事業主様にとって心強い味方となる「育児時短就業給付」について、特に「転職してきた従業員が入社当初から利用できる」という、意外と知られていないけれど重要なポイントに焦点を当てて、分かりやすく解説します。この制度を正しく理解し活用することが、貴社の人材戦略を大きく前進させるかもしれません。
そもそも「育児時短就業給付」とは?
育児時短就業給付は、2歳未満の子を養育するために時短勤務をする従業員の収入減少を補うために、雇用保険から支給される給付金です。
- 目的: 育児中の従業員が、経済的な心配を少しでも減らし、安心して働き続けられるように支援すること。
- 対象者: 2歳未満の子を養育するため、事業主に申し出て時短勤務をしている雇用保険の被保険者。
- 給付額: 原則として、時短勤務開始前の賃金の一定割合が支給されます。(※詳細な計算方法や上限額があります)
この制度があることで、従業員は収入減を気にせず育児に合わせた働き方を選択しやすくなり、企業側も貴重な人材の離職を防ぐことにつながります。
【重要ポイント】転職者も入社直後から対象になる!
ここで多くの事業主様が誤解しがちなのが、「育児休業のように、入社して1年以上経たないと利用できないのでは?」という点です。
結論から言うと、育児時短就業給付には、原則として「現事業所での勤続期間が1年以上」といった要件はありません!
つまり、転職してきてすぐの従業員であっても、以下の要件を満たせば、入社当初から育児時短就業給付の対象となり得るのです。
- 2歳未満の子を養育していること。
- 雇用保険の被保険者であること。(※前職等での加入期間も通算される場合があります)
- 所定労働時間が短縮されていること。(時短勤務をしていること)
- 時短勤務期間中の各月に支払われた賃金額が、時短勤務開始前の賃金月額に比べて低下していること。
- その他、雇用保険法に基づく支給要件を満たしていること。
「うちの会社に入ったばかりだから、まだ時短勤務や給付金の対象にはならないだろう」と思い込まず、 転職してきた従業員から育児による時短勤務の相談があった場合は、この給付金の対象になる可能性があることを念頭に置いて対応することが重要です。
育児時短就業給付を活用する事業主側のメリット
この制度を積極的に案内し、活用を支援することは、事業主様にとっても大きなメリットがあります。
- 優秀な人材の獲得: 子育て世代、特に経験豊富な転職希望者にとって、「入社後すぐに時短勤務が可能で、給付金も受けられる」という事実は、非常に魅力的な条件です。採用活動において、貴社の大きなアピールポイントとなります。
- 従業員の定着率向上: 育児と仕事の両立を支援する姿勢を示すことで、従業員の会社に対する満足度やエンゲージメントが高まります。「この会社なら長く働ける」と感じてもらい、離職率の低下につながります。
- 企業のイメージアップ: 「子育てサポート企業」「働きやすい会社」としての社会的評価が高まります。これは、採用活動だけでなく、企業ブランド全体の向上にも貢献します。
- 円滑な職場復帰と生産性の維持: 経済的な支援があることで、従業員は安心して時短勤務を選択でき、無理なく職場に復帰しやすくなります。結果として、チーム全体の生産性維持にもつながります。
事業主としてやるべきこと・注意点
育児時短就業給付の申請手続きは、原則として従業員本人が行いますが、事業主様の協力が必要不可欠です。
- 制度の周知: まずは、社内でこの制度(特に転職者も対象になる点)を正しく周知することが大切です。
- 対象者の確認: 従業員から時短勤務の申し出があった際に、給付金の対象となりそうかを確認しましょう。
- 必要書類への協力: 申請には、事業主が証明する書類(出勤簿、賃金台帳の写しなど)が必要です。速やかに準備・提出できるよう協力しましょう。
- ハローワークへの確認: 不明な点や詳細な要件については、管轄のハローワークに確認するのが最も確実です。
従業員がスムーズに手続きを進められるよう、日頃から社内体制を整えておくことが望ましいでしょう。
まとめ:制度活用で、従業員も会社もハッピーに!
育児時短就業給付は、育児中の従業員の生活とキャリアを支える重要な制度です。そして、「転職者も入社直後から対象になる」という点を理解し活用することで、事業主様にとっては、人材獲得・定着という経営課題に対する有効な一手となり得ます。
「うちには関係ない」「手続きが面倒」と思わず、ぜひこの機会に制度への理解を深め、子育て中の従業員が安心して働ける環境づくりを進めてみませんか? それが、結果的に会社の成長へとつながっていくはずです。