令和7年税制改正!所得税控除が変わる?給与計算・年末調整への影響と対策を徹底解説

「令和7年から所得税のルールが変わるって聞いたけど、ウチの会社の給与計算、具体的にどうすればいいの?」 「年末調整とか、毎月の給料から天引きする税金(源泉徴収)とか、何が変わるのかサッパリ…」
さて、令和7年度(2025年度)に行われる税制改正、特に「所得税の控除」に関する変更は、従業員さんを抱える私たち事業主や給与計算を担当される方にとって、避けては通れない大切なテーマですよね。
「基礎控除?」「給与所得控除?」「なんか新しい控除もできるの?」… 聞き慣れない言葉もあって、なんだか難しそう…と感じていらっしゃるかもしれません。
でも、ご安心ください!この記事では、今回の税制改正が、皆さまの会社の給与計算実務にどんな影響を与えるのか、特に気になる以下の点に絞って、できるだけ分かりやすく、丁寧にご説明していきます。
- 結局、どの控除が、どう変わるの? (従業員さんの手取りに関わる部分です!)
- 毎月の給与計算(源泉徴収)と年末調整、いつから何が変わる? (タイミングが重要!)
- 新しく増える手続きや書類はある? (早めに知っておきたい!)
- 給与計算ソフトや社内業務で、特に注意すべき点は? (スムーズな移行のために)
この記事を最後まで読んでいただければ、令和7年から始まる新しい税金のルールに、あなたの会社がスムーズに対応するための具体的なポイントがしっかり掴めます! 早めに準備して、慌てないようにしましょう!
ポイント①:従業員さんの「みなし経費」が増える!給与所得控除の最低額がアップ
まず注目したいのが、従業員さん一人ひとりの所得税を計算する上でとても大切な「給与所得控除」です。これは、お給料から差し引かれる「みなし経費」のようなもの、と考えてください。サラリーマンにも必要経費があるよね、という考え方ですね。
今回の改正で、この給与所得控除の最低保障額が、今の年間55万円から年間65万円へと、10万円引き上げられます。 これは、年間の給与収入が162万5千円以下の従業員さんに適用される金額です。パート・アルバイトさんなどにも関係してきますね。
【給与計算への影響は?】
この変更は、対象となる従業員さんの手取り額が少し増える方向につながります。会社としては、以下のタイミングで計算方法が変わることを覚えておきましょう。
- 年末調整での計算変更
- 令和7年分の所得税計算、つまり令和7年12月に行う年末調整から、この新しい控除額(最低65万円)を使って計算し直す必要があります。
- 毎月の源泉徴収での変更
- 令和8年(2026年)1月以降の給与計算から適用される「源泉徴収税額表」(毎月のお給料から天引きする所得税額を決める表)も、この改正を反映したものに変わります。つまり、令和8年からは、毎月の給与計算で使う税額表自体が変わる、ということです。
ポイント②:みんなに関わる「基礎控除」もアップ!でも…適用時期に要注意!
次に、原則としてすべての納税者に関係する「基礎控除」。これも令和7年分から見直されます。生活していく上で最低限必要な部分には税金をかけませんよ、という趣旨の控除ですね。
- 恒久的な引き上げ
- 合計所得金額が2,350万円以下の人(ほとんどの方が該当します)の基礎控除額が、一律で58万円に引き上げられます(今は48万円)。10万円アップですね!
- 令和7年・8年限定の特別ルール
- さらに、所得に応じて、令和7年分と令和8年分の所得税計算では、基礎控除額が最大で95万円まで上乗せされる特別な措置(定額減税の恒久化に向けた措置の一部)が導入されます。
【給与計算への影響は?】ここが一番ややこしい!
基礎控除の変更は、適用されるタイミングが少し複雑なんです。ここが、今回の改正で給与計算実務担当者が一番注意すべきポイントかもしれません。落ち着いて確認しましょう。
- 【令和7年1月~11月の毎月の給与計算】
- この期間の毎月の給与計算(源泉徴収)では、なんと「改正前の古いルール」(基礎控除48万円などを前提とした、今使っている源泉徴収税額表)で所得税を天引きします。
- つまり、令和7年の途中では、まだ新しい基礎控除額は毎月の給与計算に反映させません!
- 【令和7年12月の年末調整】
- 令和7年の最後に行う年末調整で、初めて「改正後の新しい基礎控除額」(恒久的な引き上げ58万円+令和7年分の特別上乗せ措置)を使って、1年間の正しい所得税額を計算し直します。
- そして、1月~11月に古いルールで天引きしてきた税額との差額を精算(多く払いすぎていれば還付、足りなければ追徴)します。
- 【令和8年1月以降の毎月の給与計算】
- 令和8年(2026年)1月以降の給与計算からは、改正後の基礎控除額などを反映した**「新しい源泉徴収税額表」**を使用します。ここからは毎月、新ルールでの天引きになります。
<重要まとめ:基礎控除の適用タイミング>
- 令和7年(2025年): 毎月の給与計算は旧ルール → 年末調整で新ルールに精算!
- 令和8年(2026年)以降: 毎月の給与計算も新ルール!
このタイムラグをしっかり理解しておくことが、令和7年の給与計算を乗り切るカギになります!
ポイント③:新登場!「特定親族特別控除」って何?必要な手続きは?
今回の改正で、「特定親族特別控除」という新しい所得控除が作られました。これは、特に大学生などのお子さんがいる従業員さんに関係してくる可能性が高い控除です。
【どんな制度?】
- 対象者: 19歳から23歳未満のお子さん(大学生世代が中心ですね)を扶養している親御さん(従業員さん)
- 条件: そのお子さんの年間の合計所得金額が58万円を超えて123万円以下であること(アルバイト収入などで考えると、年収約123万円超~約188万円以下くらいが目安)
- 控除額: お子さんの所得に応じて、親御さん(従業員さん)の所得から最大63万円が控除されます。
これまでは、お子さんの所得が48万円(給与収入103万円)を超えると扶養控除(特定扶養親族)の対象外になっていましたが、今回の改正で、その少し上の所得層のお子さんを持つ家庭への配慮がなされた形です。
【給与計算への影響は?】
この新しい控除ができたことで、私たち給与計算担当者には新しい事務作業が発生します。
- 年末調整での申告書回収(令和7年12月~)
- この控除の適用を受けるためには、従業員さんから「給与所得者の特定親族特別控除申告書」という新しい書類を、令和7年の年末調整時に提出してもらう必要があります。
- 年末調整で回収する書類リストに、この新しい申告書を追加し、該当しそうな従業員さんへ事前にアナウンスすることが重要になります。
- 令和8年1月以降の源泉徴収への影響
- 令和8年1月以降の毎月の給与計算では、お子さんの所得が58万円超100万円以下の場合など、一定の条件下で、この控除額を毎月の源泉徴収税額の計算に含めることができるようになります。これも新しい源泉徴収税額表に関わってきます。
ポイント④:「扶養家族」の年収の壁も変わる!
基礎控除の引き上げ(48万円→58万円)に伴って、配偶者控除や扶養控除などの対象となる「扶養親族」や「同一生計配偶者」などの合計所得金額の要件も変わります。これも年末調整に影響が大きい部分です。
- 所得要件の引き上げ
- 従来の「合計所得金額48万円以下」という要件が、「合計所得金額58万円以下」に引き上げられます。
- (もし収入が給与収入だけの場合、従来の「年収103万円の壁」が「年収123万円の壁」に変わる、というイメージです ※ただし、給与所得控除の最低額も変わるので少し計算は複雑ですが、大枠のイメージとして)
【給与計算への影響は?】
- 扶養控除等申告書の確認・更新が必要に
- これまで、パート収入などが年間103万円を少し超えていたために扶養対象外だった配偶者の方や、アルバイト収入が多かったお子さんなどが、今回の改正によって新たに扶養控除等の対象になる可能性があります。
- 令和7年の年末調整に向けて、従業員さんに「ご家族の収入状況に変化はありませんか?」「扶養の状況に変更はありませんか?」と確認を促し、変更がある場合は「扶養控除等(異動)申告書」を再提出してもらう必要があります。
- 年末調整時のチェック項目が一つ増えることになりますね。
まとめ:経営者・給与計算担当者が【今すぐ】やるべきことリスト
今回の税制改正は、特に令和7年~令和8年にかけて、給与計算の実務に大きな影響を与えます。早めに準備を始めることで、スムーズな移行を目指しましょう!
【準備・対応チェックリスト】
- □ 改正内容を正しく理解する
- 特に、各控除の変更点と「適用されるタイミング」(令和7年の年末調整からなのか、令和8年の毎月の源泉徴収からなのか等)の違いをしっかり把握しましょう。
- □ 年末調整の業務フローを見直す
- 計算ロジックの確認: 改正後の基礎控除(特別措置も含む)、給与所得控除、そして新設される特定親族特別控除を反映した計算方法を確認します。
- 必要書類の準備と周知: 新しく必要になる「給与所得者の特定親族特別控除申告書」や、更新が必要になる可能性のある「扶養控除等(異動)申告書」について、従業員への案内方法や回収手順を準備します。
- □ 令和8年1月以降の源泉徴収に備える
- 新しい源泉徴収税額表の入手・適用準備: 国税庁から発表される新しい税額表を、令和8年1月から使えるように準備します。
- 月次での特定親族特別控除の反映: 該当する場合の、毎月の給与計算への反映方法を確認します。
- □ 給与計算システムを確認・アップデートする
- お使いの給与計算ソフトやシステムが、今回の税制改正にきちんと対応しているか確認しましょう。必要に応じて、システムのアップデートや設定変更を行います。システム会社からのアナウンスも要チェックです。
- □ 最新情報を常にチェックする
- 国税庁のウェブサイト(https://www.nta.go.jp/) などで、最新情報や具体的な申告書の様式、Q&Aなどを随時確認しましょう。特に年末調整に関する詳しい情報は、例年通りであれば夏以降に発表されることが多いです。
今回の税制改正、特に令和7年中の源泉徴収と年末調整でのルールの違いは、慣れるまで少し混乱しやすいかもしれません。しかし、事前にポイントを押さえて準備を進めれば、決して難しいものではありません。
もし、「ウチの会社のケースだとどうなるんだろう?」「手続きが複雑でよく分からない…」といった税法解釈に関するご不明な点があれば顧問税理士さんへ、また、年末調整に関連する書類の準備や手続きの進め方、給与計算ツールを利用した入力・形式チェックなど、給与計算に関する事務的なサポートが必要な場合は、当事務所(社会保険労務士事務所)でもお手伝いできますので、お気軽にご相談ください。