Google無料ツールで休暇申請を自動化!社労士が教える業務効率化術

「日々の業務に追われて、管理業務まで手が回らない…」 「紙やメールでの申請管理は、ミスも多いし時間もかかる…」
中小企業の経営者の皆様、こんなお悩みはありませんか?特に従業員の方の休暇申請は、毎月のように発生するものの、意外と手間がかかる業務の一つです。申請書の回収、承認、記録、そして従業員への通知…これらのプロセスを一つひとつ手作業で行っていると、貴重な時間と労力が奪われてしまいます。
こんにちは!私たちは、企業の「人」に関する専門家、社労士事務所です。給与計算代行サービスを通じて、多くの事業主様のバックオフィス業務効率化をお手伝いさせていただいております。そんな私たちが今回ご提案したいのは、Googleの無料ツールを活用した「休暇申請ワークフローの自動化」です。
この記事では、専門的な知識がなくても、GoogleフォームとGoogle Apps Script(GAS)というツールを使って、驚くほど簡単に、そしてコストをかけずに休暇申請業務を効率化する方法をご紹介します。
なぜ今、休暇申請の「自動化」なのか? 事業主様が得られる5つのメリット
「たかが休暇申請…」と思われるかもしれません。しかし、この業務を自動化することで、事業主様には多くのメリットが生まれます。
- 圧倒的な時間短縮: 申請者も承認者も、手書きやメール作成の手間が激減。空いた時間をコア業務に集中できます。
- ミスの削減と正確性の向上: 紙の紛失や転記ミス、承認漏れといったヒューマンエラーを防ぎ、正確な記録管理を実現します。
- 進捗の見える化と透明性アップ: 誰がいつ申請し、現在誰が承認作業中なのかが一目でわかります。従業員も自身の申請状況を把握しやすくなります。
- コンプライアンス強化: 労働基準法で定められた年次有給休暇管理簿の作成・保存にも役立ち、適切な労務管理体制を構築できます。
- コスト削減: 専用のワークフローシステムを導入する必要はありません。Google Workspace(旧G Suite)をご利用であれば、追加費用なしで始められます。
これらのメリットは、日々の業務効率を格段に向上させ、事業主様がより本質的な経営課題に取り組むための時間を生み出します。
自動化の主役!「Googleフォーム」と「Google Apps Script(GAS)」とは?
「自動化って難しそう…」ご安心ください。今回使用するツールは、ITに詳しくない方でも比較的扱いやすいものです。
- Googleフォーム: アンケートや申し込みフォームを簡単に作成できるGoogleの無料ツールです。ドラッグ&ドロップで直感的に質問項目を設定できます。
- Google Apps Script (GAS): Google Workspaceの各サービス(Gmail、スプレッドシート、ドキュメントなど)を連携させたり、定型的な作業を自動化したりできるプログラミング言語です。例えるなら、「Googleのサービスをさらに便利にする魔法の杖」のようなものです。少しだけ専門知識が必要ですが、基本的な仕組みはシンプルです。
これらのツールを組み合わせることで、オーダーメイドの休暇申請システムを構築できるのです。
自動化された休暇申請ワークフローの流れ(サンプル)
具体的にどのような流れで休暇申請が処理されるのか、私たちが今回構築した仕組みを例にご紹介します。
- 申請 (従業員)
- 従業員は、PCやスマートフォンから専用の「休暇申請フォーム(Googleフォームで作成)」にアクセスし、氏名、希望休暇日、理由などを入力して送信します。

- 記録・一次処理 (システム)
- フォームが送信されると、GASが起動します。
- 申請内容は、自動的に「休暇申請管理用のGoogleスプレッドシート」に新しい行として記録されます。このとき、申請IDやタイムスタンプも自動で付与されます。

- 承認依頼 (システム → 承認者)
- GASは、あらかじめ設定された承認者(例:上長、社長)へ「【要承認】休暇申請のお知らせ」といった件名でメールを自動送信します。
- メール本文には、申請内容の詳細(誰がいつからいつまで、どんな理由で休むか)と、「承認する」「否認する」ための専用リンクが記載されています。

- 承認・否認 (承認者)
- 承認者はメールを受け取り、内容を確認します。
- 問題がなければ「承認する」リンクを、差し戻したい場合は「否認する」リンクをクリックします。(否認理由を入力させることも可能です)

- ステータス更新・結果通知 (システム → 申請者)
- 承認者がリンクをクリックすると、再びGASが作動します。
- スプレッドシート上の該当申請のステータスが「承認済み」または「否認済み」に自動更新され、処理日時も記録されます。
- 同時に、申請者本人へ「休暇申請の結果: 承認済み」といった件名で、結果通知メールが自動送信されます。メール本文には、承認された休暇期間や、承認者からのコメント(もしあれば)を記載することもできます。


いかがでしょうか?これまで手作業で行っていた一連の流れが、ほぼ自動で処理されるようになります。この仕組みはあくまで一例であり、企業の規模や運用ルールに合わせて、承認ステップを増やしたり、通知内容をカスタマイズしたりすることも可能です。
事業主様にとっての「自動化」の真の価値
この休暇申請ワークフローの自動化は、単に「楽になる」だけではありません。
- 「誰でもできる仕事」からの解放: 経営者や管理職の方が、申請書のチェックやメールのやり取りといった定型業務に時間を取られるのは非常にもったいないことです。自動化によって、より戦略的な業務や、人にしかできない業務に集中できるようになります。
- 「見える化」による安心感: スプレッドシートを見れば、誰がいつ休むのか、年間の休暇取得状況などが一元管理できます。これにより、人員配置の計画も立てやすくなります。
- 従業員満足度の向上: 申請手続きが簡単になり、結果もすぐにわかるため、従業員のストレス軽減にも繋がります。働きやすい環境は、定着率の向上にも貢献するでしょう。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)の第一歩: 「DX」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、こうした身近な業務のデジタル化・自動化も立派なDXの一環です。小さな成功体験を積み重ねることが、企業全体の生産性向上への大きな一歩となります。
私たち社労士事務所は、給与計算という毎月必ず発生する重要な業務を正確かつ効率的に代行することで、お客様の負担を軽減しています。それと同じように、日常の細かな管理業務も、少しの工夫で大きく改善できるのです。
自動化導入のヒントと、さらに広がる可能性
「うちでも導入してみたいけど、何から始めれば…?」
- まずはGoogleフォームで申請受付を始めてみる: いきなり全てを自動化しようとせず、まずは休暇申請をGoogleフォームに置き換えるだけでも、紙の管理からは解放されます。
- スプレッドシートでの管理に慣れる: 申請データをスプレッドシートに集約し、関数などを使って簡単な集計をしてみましょう。
- GASに挑戦、専門家のサポートを検討、またはAIを活用: 通知の自動化など、より高度な処理にはGASの知識が必要になります。自社で対応が難しい場合は、私たちのような専門家にご相談いただくのも一つの方法です。また、最近ではAI(人工知能)に基本的なコードの作成を依頼したり、エラー解決のヒントを得たりするという手法も非常に有効です。これにより、プログラミングのハードルを下げることができます。
この仕組みは休暇申請だけでなく、例えば以下のような業務にも応用できます。
- 経費精算申請
- 備品購入申請
- 日報・週報の提出
- 研修参加申し込み
- 顧客からの問い合わせ管理
アイデア次第で、様々な業務の効率化に繋げることが可能です。
【まとめ】小さな自動化が、大きなゆとりを生む
今回は、Googleの無料ツールを活用した休暇申請ワークフローの自動化についてご紹介しました。
日々の忙しさの中で後回しにされがちな管理業務ですが、一度仕組みを整えてしまえば、その効果は絶大です。時間と心にゆとりが生まれ、事業主様はより創造的な活動に時間を使えるようになります。
私たち社労士事務所は、給与計算や社会保険手続きの代行はもちろんのこと、こうしたITツールを活用したバックオフィス業務の効率化】ついても、お客様の状況に合わせたアドバイスをさせていただいております。
「何から手をつければ良いかわからない」「うちの会社でもできるだろうか」など、どんな些細なことでも構いません。ぜひお気軽にご相談ください。
この記事が、事業主様の「働き方改革」の一助となれば幸いです。