【画像で分かる】MF給与カスタム計算式の使い方!複雑な「家族手当」も自動化できる

マネーフォワードの「カスタム計算式」で、複雑な手当も自動化!

こんにちは!社労士事務所ぽけっとです。

毎月の給与計算、お疲れ様です。
ところで、皆さんの会社では「家族手当」や「住宅手当」などを、従業員ごとにExcelで管理したり、手計算で金額を出したりしていませんか?

「Aさんは扶養家族が2人だから…Bさんは配偶者だけだから…」こうした作業は、毎月発生する上に、ミスが許されないため担当者の方の大きな負担になりがちです。

もし、あなたがマネーフォワードクラウド給与(以下、MF給与)をお使いなら、その悩み、「カスタム計算式」機能で解決できるかもしれません!

今回は、実際にあったご質問を元に、少し複雑な「家族手当」のルールを、MF給与のカスタム計算式で完全に自動化する手順を、画像を使いながら分かりやすく解説します。

大前提:MF給与は家族構成を“自動で”は読み取れない

本題に入る前に、一つ非常に重要なポイントがあります。
それは、「MF給与は、従業員情報に登録された家族の情報を、自動で“子の人数は〇人”というようにカウントしてはくれない」ということです。

「え、じゃあ自動化できないの?」とがっかりされたかもしれません。
ご安心ください。

ここで発想を転換します。 「人が判断した結果を入力するための“専用の箱”を用意し、計算式はその箱の値を参照する」 のです。
この“専用の箱”が「カスタム従業員項目」です。

このひと手間を加えることで、驚くほど給与計算が楽になります。

【実践】新しい「家族手当」のルールを設定しよう

では、さっそく設定していきましょう。
今回は、新しい家族手当ルールを自動化していきます。

<新・家族手当 支給ルール>

この手当は、「①配偶者手当」と「②子育て支援手当」の2階建て構造になっており、両方の条件を満たす場合は合算して支給されます。

① 配偶者手当

  • 税法上の扶養に入っている配偶者がいる場合、月額 10,000円 を支給する。

② 子育て支援手当

  • 税法上の扶養に入っている子がいる場合、その人数に応じて以下の金額を支給する。
    • 1人目: 5,000円
    • 2人目: 12,000円 (5,000円+7,000円)
    • 3人目以降:1人増えるごとに 10,000円 を加算 (例: 3人なら12,000円+10,000円で 22,000円)

STEP1:計算の土台となる「カスタム従業員項目」を作成する

まずは、先ほどお話しした“専用の箱”を用意します。

  1. MF給与の [基本設定] > [支給項目] タブを開きます。
  2. [+追加] をクリックし、以下の2つの項目を追加します。
    • 項目①
      • 項目名: 扶養対象の配偶者の数
      • 計算方法: 従業員情報で設定 ÷ 1 × 1.0 × 1
      • 項目②
        • 項目名: 扶養対象の子の数
        • 計算方法: 従業員情報で設定 ÷ 1 × 1.0 × 1

こうすることで、各従業員の編集画面で、人事担当者が判定した結果を直接入力できるようになります。

STEP2:頭脳部分!「カスタム計算式」を組む

土台ができたら、いよいよ計算式の設定です。
今回は分かりやすく「配偶者手当」と「子育て支援手当」を別々に作ってみましょう。

1. 配偶者手当の計算式

「配偶者手当」という支給項目を作成し、計算式を「カスタム計算式」に設定。以下の式を入力します。

扶養対象の配偶者の数 * 10000

これは、「扶養対象の配偶者の数」に「1」(いる場合)か「0」(いない場合)を手入力で設定する運用を想定したものです。

2. 子育て支援手当の計算式

次に「子育て支援手当」の項目です。
ここが腕の見せ所。
ルールが少し複雑なので、IF関数を入れ子(ネスト)にして組み立てます。

IF(扶養対象の子の人数 = 1, 5000, IF(扶養対象の子の人数 = 2, 12000, IF(扶養対象の子の人数 >= 3, 12000 + (扶養対象の子の人数 - 2) * 10000, 0)))

長いですが、分解すると簡単です。

  • もし、子の人数が1人なら → 5,000円
  • そうでなくて、もし、子の人数が2人なら → 12,000円
  • そうでなくて、もし、子の人数が3人以上なら → 12,000円に、(子の人数-2)×10,000円を足した額
  • どれでもなければ → 0円

という意味になります。
特に3人以上の計算式は、ルールを正確に数式化できており、見事なロジックです。

実際に設定すると、このようになります。

これで、従業員情報に人数などを入力するだけで、毎月の給与計算で家族手当が自動計算されるようになりました!

【結果】給与計算が正しくできたか検証!

従業員>給与情報>支給項目のSTEP1で作成した項目に試しに数字を入れてみます。

(支給項目にあるので、『円』と単位が自動で付いてしまうのは気になるところですが、ここは目をつぶりましょう)

さて、計算結果は、、、

少し複雑だった子育て支援手当もきちんと計算できていますね!

【応用編】2つの手当を合体させて給与明細をスッキリ

さらに応用として、この2つの手当を「家族手当」という一つの支給項目にまとめることも可能です。
その場合は、2つの計算式を「+」で繋げるだけです。

(扶養対象の配偶者の数 * 10000) + (IF(扶養対象の子の人数 = 1, 5000, IF(扶養対象の子の人数 = 2, 12000, IF(扶養対象の子の人数 >= 3, 12000 + (扶養対象の子の人数 - 2) * 10000, 0))))

こうすると、給与明細の項目が一つにまとまり、従業員にとっても分かりやすくなります。

【まとめ】カスタム計算式で、給与計算はもっと楽になる!

いかがでしたでしょうか。
一見難しそうに見えるカスタム計算式も、仕組みを理解すれば、自社のルールに合わせて柔軟な設定が可能です。
一度設定してしまえば、あとはシステムが自動で計算してくれるので、面倒な手作業や計算ミスから解放されます。

「うちの会社の手当はもっと複雑で…」
「設定してみたけど、合っているか不安…」

そんな時は、ぜひ私たち社労士にご相談ください。
システムの知識だけでなく、労働法や社会保険の専門知識を基に、貴社に最適な給与計算の仕組みづくりをサポートいたします。

給与計算の効率化は、人事担当者の負担を減らし、より創造的な業務に時間を使うための第一歩です。お気軽にお問い合わせください。


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