ふるさと納税の効果は住民税で確認!確定申告とワンストップ特例制度の還付・控除の違いも解説

「昨年ふるさと納税をしたけれど、本当に安くなっているのかな?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
ふるさと納税の効果は、寄付をしてすぐに実感できるものではありません。
実際にその効果を確認できるのは、毎年5月から6月にかけて届く「住民税の税額通知書」です。
この記事では、ふるさと納税による控除が住民税の税額通知書でどのように確認できるのか、具体的な見方を解説します。
さらに、確定申告を利用した場合とワンストップ特例制度を利用した場合とで、控除の仕組みや確認方法がどう異なるのかを詳しくご紹介します。
ふるさと納税を最大限に活用するために、ぜひ最後までお読みください。
1. ふるさと納税の仕組みをおさらい
まずは、ふるさと納税の基本的な仕組みについて簡単におさらいしましょう。
ふるさと納税は「寄付」
ふるさと納税は、自分が応援したい自治体に「寄付」をする制度です。
一般的に「納税」という言葉が入っているため税金を納めるイメージがありますが、実際は寄付に分類されます。
この寄付によって、実質2,000円の自己負担で、寄付先の自治体からその土地の特産品などの「返礼品」を受け取ることができます。
自己負担額2,000円で返礼品と税金控除
ふるさと納税の最大の魅力は、寄付した金額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から控除される点です。
つまり、2,000円の自己負担で全国各地の魅力的な返礼品がもらえる、非常にお得な制度と言えます。
ただし、この控除には年間の上限額があり、個人の年収や家族構成などによって異なります。
2. ふるさと納税の控除はいつ、どうやって行われる?
ふるさと納税の控除は、寄付をした年とは異なるタイミングで行われます。
所得税からの還付と住民税からの控除
ふるさと納税による税金の優遇措置は、主に以下の2つの方法で行われます。
- 所得税からの「還付」:ふるさと納税をした年の所得税から、一部が還付金として戻ってきます。
- 住民税からの「控除」:ふるさと納税をした翌年度の住民税が、一部減額されます。
控除の対象となる期間
ふるさと納税の対象となる期間は、1月1日から12月31日までの1年間です。この期間に行った寄付が、翌年の税金に反映されます。
3. 住民税の税額通知書でふるさと納税の効果を確認する方法
いよいよ本題です。住民税の税額通知書を使って、ふるさと納税の効果が確認できる具体的な方法を見ていきましょう。
住民税の税額通知書とは?
住民税の税額通知書は、毎年5月から6月頃に、お住まいの市区町村から送られてくる書類です。
給与所得者の方は勤務先を通じて交付される場合もあります。
この通知書には、あなたが1年間で納める住民税の金額とその内訳が記載されています。
どこを確認すればいいの? 住民税の税額通知書の具体的な見方
税額通知書の書式は自治体によって多少異なりますが、基本的な記載内容は共通しています。
ふるさと納税の控除額を確認する際に注目すべきは、以下の項目です。
- 「税額控除額」または「寄付金税額控除」の欄
この欄に記載されている金額が、ふるさと納税によって住民税から控除された金額を示しています。
自治体によっては、「摘要欄」に詳細が記載されている場合もありますので、詳細な内訳を確認できる箇所を探しましょう。
「税額控除額」欄をチェック!
多くの税額通知書では、「税額控除額」という項目の中に「寄付金控除」またはそれに類する名目で、ふるさと納税による控除額が記載されています。
例えば、年間50,000円のふるさと納税(自己負担2,000円を除く48,000円が控除対象)をした場合、住民税の税額通知書の「税額控除額」の欄に、およそ48,000円の記載があることを確認できます。
所得税で還付された分を差し引いた金額が、住民税で控除されることになります。
【確定申告の場合】所得税からの還付も忘れずに
確定申告を行った場合、ふるさと納税の控除は「所得税からの還付」と「住民税からの控除」に分かれます。
住民税の税額通知書で確認できるのは住民税からの控除額のみですので、所得税からの還付については、確定申告後に税務署から送られてくる「国税還付金振込通知書」や、ご自身の銀行口座への入金状況で確認しましょう。
4. 確定申告とワンストップ特例制度、控除の違いを徹底解説
ふるさと納税の控除手続きには、「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2つの方法があります。
それぞれの制度によって、控除のされ方や住民税の税額通知書での見え方が異なります。
確定申告を利用した場合
確定申告は、ふるさと納税以外にも医療費控除や住宅ローン控除など、様々な控除をまとめて申告する場合に利用します。
- 所得税からの還付と住民税からの控除に分かれる 確定申告を行うと、ふるさと納税で寄付した金額のうち、一定割合(通常は約5%~40%程度、個人の所得税率による)が所得税から還付され、残りの大部分が住民税から控除されます。
例:寄付金40,000円、所得税率10%の場合- 所得税からの還付:約(40,000円 - 2,000円) × 10% = 3,800円
- 住民税からの控除:約(40,000円 - 2,000円) - 3,800円 = 34,200円 この34,200円が、住民税の税額通知書の「税額控除額」などに反映されます。
- 還付金はいつ戻ってくる? 確定申告後、通常1ヶ月~1ヶ月半程度で、指定した銀行口座に所得税の還付金が振り込まれます。
ワンストップ特例制度を利用した場合
ワンストップ特例制度は、確定申告が不要な会社員など、特定の条件を満たす方が利用できる簡便な制度です。
- 住民税から全額控除される ワンストップ特例制度を利用した場合、ふるさと納税による控除は、全額が翌年度の住民税から減額される形で適用されます。 所得税からの還付はありません。
例:寄付金40,000円の場合 住民税からの控除:約(40,000円 - 2,000円) = 38,000円 この38,000円が、住民税の税額通知書の「税額控除額」などに反映されます。
確定申告の場合と比較して、住民税からの控除額が大きくなるのが特徴です。 - 手続きが簡単! 確定申告のように複雑な計算や書類作成が不要で、寄付先の自治体に「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」と本人確認書類などを郵送するだけで手続きが完了します。ただし、ワンストップ特例制度を利用できるのは、年間5団体までの寄付に限定されます。6団体以上に寄付した場合は、確定申告が必要です。
確定申告とワンストップ特例制度の比較表
以下の表で、確定申告とワンストップ特例制度の違いを分かりやすくまとめました。
項目 | ワンストップ特例制度 | 確定申告 |
控除の対象 | 住民税 | 所得税と住民税 |
控除される額 | 基本的に同じ (例)10,000円のふるさと納税を行った場合 ・自己負担:2,000円 ・住民税から控除:8,000円 | 基本的に同じ (例)10,000円のふるさと納税を行った場合 ・自己負担:2,000円 ・所得税から控除:800円 ・住民税から控除:7,200円 |
寄付できる自治体数 ※2 | 5自治体まで | 6自治体以上でもOK(制限なし) |
申請期限 | 寄付をした翌年の1月10日 | 寄付をした翌年の2月16日~3月15日 ※3 |
※1 控除上限額は、ふるさと納税をされる方の給与収入や家族構成などによって異なります。お住まいの地域によって住民税の計算にわずかな差が生じる場合があり、それが控除上限額に間接的に影響を与える可能性もゼロではありませんが、主な影響は給与収入と家族構成によるものです。
※2 同じ自治体であれば複数回ふるさと納税を行っても自治体は1としてカウントされます。
※3 確定申告期間は土日祝日により前後することがあります。
どちらの制度を選ぶべき?
ふるさと納税による税金控除の最終的な合計額は、確定申告でもワンストップ特例制度でも同じです。
どちらの制度を利用しても、自己負担額2,000円を超えた部分が税金から控除される点に変わりはありません。
選択のポイントは、ご自身の状況によって異なります。
確定申告が「必須」となるケース
以下に該当する方は、ふるさと納税の有無にかかわらず、基本的に確定申告が必要です。
この場合、ふるさと納税の控除も確定申告に含めて手続きを行うことになります。
- 医療費控除や住宅ローン控除など、ふるさと納税以外の理由で確定申告が必要な方
- 年間のふるさと納税寄付先が6団体以上の方
- 個人事業主や不動産所得があるなど、そもそも確定申告が必要な方
- 給与を2ヶ所以上から受けている方(年末調整されなかった所得がある場合)
- 年収2,000万円を超える給与所得者
ワンストップ特例制度が「利用できる」ケース
上記の確定申告が必須となるケースに該当せず、かつ以下の条件を満たす方は、ワンストップ特例制度を利用できます。
- 年間のふるさと納税寄付先が5団体以内の方
- 給与所得者で、確定申告を行う必要がない方
ご自身のライフスタイルや確定申告の必要性に合わせて、最適な方法を選びましょう。
5. ふるさと納税でよくある疑問Q&A
Q1:寄付金控除額が思ったより少ないのはなぜ?
考えられる理由はいくつかあります。
- ふるさと納税の控除上限額を超えて寄付している:年収や家族構成に応じた控除上限額を超えて寄付した場合、超過分は控除の対象外となります。
- 他の控除(住宅ローン控除など)との兼ね合い:住宅ローン控除など、他の控除額が大きい場合、ふるさと納税による控除額が相対的に少なく見えることがあります。
- 手続きの不備:確定申告書の記載ミスや、ワンストップ特例制度の申請忘れ・不備などがあった場合、正しく控除が適用されないことがあります。
Q2:住宅ローン控除や医療費控除がある場合、ふるさと納税はどうなる?
住宅ローン控除や医療費控除は、所得税額や住民税額から直接税額を控除する制度です。
これらの控除はふるさと納税の控除とは計算順序が異なるため、控除額の計算に影響を与える可能性があります。
特に、所得税から控除される税額が少ない場合、ふるさと納税の控除が十分に適用されないケースも考えられます。
ご自身の正確な控除上限額や影響を知りたい場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。
Q3:ワンストップ特例制度を申請し忘れたらどうなる?
ワンストップ特例制度の申請期限(寄付をした翌年の1月10日必着)を過ぎてしまった場合や、申請を忘れてしまった場合は、確定申告をすれば控除を受けることができます。
確定申告の期限は原則として毎年3月15日です。
期限を過ぎてしまっても、5年間は「更正の請求」という手続きで税金の還付を受けることができる場合がありますので、諦めずに税務署に相談してみましょう。
6. まとめ
ふるさと納税の効果は、翌年度の住民税の税額通知書で確認できます。
特に「税額控除額」の欄に注目し、ご自身の寄付額と照らし合わせてみましょう。
- 確定申告の場合:所得税からの還付と住民税からの控除に分かれて反映。
- ワンストップ特例制度の場合:全額が住民税からの控除として反映。
どちらの制度を利用しても、最終的な控除額は同じですが、手続きの簡便さや還付のタイミングが異なります。
ご自身のライフスタイルや確定申告の必要性に合わせて、最適な方法を選択してください。
住民税の税額通知書の見方が分かれば、ふるさと納税の効果をより実感でき、来年以降の寄付計画にも役立てられるでしょう。
もし、税額通知書の内容が不明な点があれば、お住まいの市区町村の住民税担当窓口にお問い合わせください。
免責事項
本記事は、ふるさと納税の仕組みや住民税の税額通知書の見方について、一般的な情報を提供するものです。税制改正等により内容が変更される可能性や、個別の状況によっては適用されない場合があります。税金の計算や申告については、必ず税務署や税理士などの専門家にご確認ください。当事務所は、本記事の内容によって生じた損害について一切の責任を負いません。