【2025年4月施行】高年齢雇用継続給付の見直し!給付額は?手続きは?徹底解説
こんにちは!社労士事務所ぽけっとです。
「高年齢雇用継続給付が2025年4月から変わるらしいけど、具体的に何が変わるの?」
「自社の対応は今のままで大丈夫だろうか…」
近年、高年齢者雇用に関する法改正が続いており、経営者様や人事担当者様の中には、このような疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご安心ください。
この記事では、**2025年4月から見直される「高年齢雇用継続給付」**について、変更点のポイントから企業に求められる対応、具体的な手続きまで、専門家の視点から分かりやすく解説します。
結論:2025年4月から何が変わるのか?
今回の見直しで最も重要な変更点は、給付率の上限が引き下げられることです。
高年齢雇用継続給付とは、60歳を過ぎて働き続ける方の賃金が、60歳時点に比べて低下した場合に、その一部を補うために雇用保険から支給される給付金です。
この給付金の支給額を計算する際の「給付率」が、以下のように変更されます。
現行(~2025年3月31日) | 新制度(2025年4月1日~) | |
対象者 | 2025年3月31日までに60歳に到達する方 | 2025年4月1日以降に60歳に到達する方 |
最大の給付率 | 各月の賃金の15% | 各月の賃金の10% |
ポイントは、2025年4月1日以降に新たに60歳になる方から、新しい制度(給付率上限10%)が適用されるという点です。
すでに給付を受けている方や、2025年3月末までに60歳になる方は、これまで通り現行の給付率が適用されますので、ご安心ください。
なぜ今、制度が見直されるのか?
この見直しの背景には、高年齢者の就労を促進するための社会的な環境整備があります。
2021年の法改正により、企業には70歳までの就業機会確保が努力義務とされました。
さらに、2025年4月からは、希望者全員の65歳までの雇用確保が完全に義務化されます。
このように、60歳を過ぎても働き続けることが当たり前の社会へと移行する中で、60歳以降の賃金低下を補う目的であった高年齢雇用継続給付は、その役割を終え、将来的には段階的に縮小・廃止される方向で議論が進んでいます。
今回の給付率引き下げは、その大きな一歩と言えるでしょう。
【具体例】給付額はどれくらい変わる?
では、実際に給付額がどれくらい変わるのか、例を見てみましょう。
- モデルケース:Aさん(2025年4月以降に60歳に到達)
- 60歳時点の賃金(月額):40万円
- 60歳以降の賃金(月額):30万円
この場合、まず賃金の低下率を計算します。
- 賃金低下率: (60歳時点の賃金40万円 - 60歳以降の賃金30万円)÷ 60歳時点の賃金40万円 = 25%
次に、この低下率に応じた支給額を新旧制度で比較します。
- 【新制度】2025年4月以降に60歳になるAさんの場合
- 支給率:低下率25%の場合、支給率は10%(上限)となります。
- 支給額: 60歳以降の賃金30万円 × 10% = 月額30,000円
- 【参考:現行制度】もしAさんが2025年3月末までに60歳になっていた場合
- 支給率:低下率25%の場合、支給率は15%(上限)が適用されます。
- 支給額: 60歳以降の賃金30万円 × 15% = 月額45,000円
※上記はあくまで計算例です。実際の支給額は個々の状況により異なります。
ご覧の通り、制度が変わることで支給額に大きな差が出ることが分かります。
これは従業員の生活設計に影響を与えるだけでなく、企業側もこの変更を前提とした賃金制度の設計や、従業員への丁寧な説明が不可欠となります。
企業に求められる対応と手続きの流れ
「給付金の申請をしていなかった…」というお声を聞くことも少なくありません。
この給付金は、事業主(会社)が手続きをしなければ、従業員は受け取ることができません。
基本的な手続きの流れは以下の通りです。
- 受給資格確認(初回申請): 従業員が60歳に到達し、継続雇用される際に、ハローワークへ「高年齢雇用継続給付受給資格確認票」などを提出します。
- 支給申請(2回目以降): 原則として2ヶ月に1回、対象期間の賃金などを証明する書類(賃金台帳や出勤簿の写しなど)を添えて、ハローワークへ支給申請を行います。
今回の法改正を機に、対象となる従業員がいないか、申請漏れがないかを改めてご確認いただくことをお勧めします。
【まとめ】法改正を、より良い労務管理へのきっかけに
今回の高年齢雇用継続給付の見直しは、単なる給付金の減額ではありません。
これは、**「給付金に頼るのではなく、年齢に関わらず従業員の経験や能力が正当に評価される賃金・人事制度を構築していきましょう」**という社会からのメッセージです。
「自社の賃金制度は、このままで大丈夫だろうか?」
「従業員への説明や手続きに不安がある…」
そのようなお悩みや課題がございましたら、ぜひ私たち専門家にお任せください。
社労士事務所ぽけっとでは、法改正への実務的な対応はもちろん、貴社の実情に合わせた就業規則の見直しや人事制度の構築まで、親身にサポートいたします。
リモートでの全国対応も可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
【免責事項】
本記事は、2025年3月14日時点の公開情報に基づき作成しております。法改正の最新情報や個別の事案に関する具体的な判断については、必ず管轄のハローワークや社会保険労務士等の専門家にご確認ください。本記事の情報を用いて行う一切の行為について、当事務所は何ら責任を負うものではありません。