【2025年8月】給与計算のポイントを社労士が解説!

8月給与計算

7月の定時決定や年度更新もひと段落し、ホッと一息つかれている頃かと思います。

さて、8月は夏季休暇や賞与支給など、給与計算で確認しておきたいポイントが多くあります。

「うっかりミスで従業員に迷惑をかけたくない…」
「正確な給与計算で、安心して経営に集中したい」

そんな中小企業の経営者様や人事担当者様のために、社労士事務所ぽけっとが、2025年8月の給与計算で特に気を付けたいポイントを分かりやすく解説します。

1. 社会保険料の定時決定(算定基礎届)の確認

8月の給与計算で重要なポイントの一つが、社会保険料の「定時決定」です。

これは、毎年7月に提出する「算定基礎届」に基づいて、9月からの社会保険料(健康保険・厚生年金保険)が決定される手続きのこと。

8月支給の給与から新しい保険料が適用されるわけではありませんが、8月の給与計算時には、年金事務所から届く決定通知書の内容をしっかりと確認し、誤りや漏れがないかチェックすることが重要です。そして、9月からの変更に備えましょう。

【ココが重要!】

  • 7月に提出した算定基礎届の内容と、届いた決定通知書の内容に誤りがないか、今一度確認しましょう。
  • もし決定通知書の内容に誤りがあった場合は、速やかに訂正届を提出する必要があるため、年金事務所に相談してください。
  • 正しい社会保険料を適用することで、従業員の皆様も安心して働けます。

2. 月額変更届(随時改定)の確認

定時決定とは別に、従業員の給与が大きく変動した場合には「月額変更届(随時改定)」の提出が必要です。

これは、昇給や降給などで固定的賃金が変動し、かつその変動によって標準報酬月額が2等級以上変動した場合に提出するものです。

月額変更届(随時改定)は、固定的賃金の変動があった月から数えて3ヶ月間の報酬の平均を基に判断されます。

例えば、6月の給与支給時に固定的賃金の変動があった従業員については、その後の3ヶ月の報酬(6月、7月、8月)を確認し、標準報酬月額が2等級以上変動している場合に月額変更届の提出が必要になります。

8月の給与計算を行う際には、過去数ヶ月の給与変動、特に6月支給給与で固定的賃金の変動があった従業員がいないか、改めて確認しましょう。

該当者がいれば、速やかに月額変更届を提出し、その後の社会保険料の変更に備える必要があります。

3. 労働保険料の年度更新(もし未完了であれば)

労働保険料の年度更新は、通常6月1日から7月10日までの期間に行われます。

しかし、何らかの理由でまだ手続きが完了していない場合は、速やかに手続きを完了させましょう。

期限を過ぎると、延滞金が発生したり、場合によっては罰則が科せられるリスクもあります。未手続きの場合は、早急に管轄の労働基準監督署またはハローワークに相談しましょう。

4. 夏季休暇・特別休暇の取り扱い

8月は、多くの従業員が夏季休暇を取得する月です。

給与計算においては、この休暇の取り扱いを明確にする必要があります。

  • 有給休暇として処理するのか、特別休暇として処理するのか、就業規則に基づき適切に判断しましょう。
  • 欠勤控除の有無、賃金の支払い有無なども、事前に就業規則で確認し、従業員にも周知しておくことが大切です。
  • 半日休暇や時間単位有給の利用状況も、正確に把握しておく必要があります。

5. 賞与(ボーナス)の支給と社会保険料・所得税

夏季賞与を8月に支給する企業も多いかと思います。

賞与を支給する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 賞与からは社会保険料(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険料、所得税が控除されます。
  • 賞与にかかる社会保険料は、賞与支払届を提出することで決定されます。支給後5日以内に提出が必要です。
  • 所得税の計算は、通常の給与とは異なる計算方法(賞与に対する源泉徴収税額の算出)が適用されますので、国税庁の情報を確認するなどして正確に計算しましょう。
  • 育児休業中の従業員に賞与を支給する場合、育児休業期間が1ヶ月超であれば社会保険料が免除されます。該当する従業員がいないか、事前に確認しておきましょう。

【過去の参考記事】

賞与計算の落とし穴!社会保険料と所得税の複雑ポイントとは?~従業員への説明もこれで安心!~

賞与の社会保険料、どうなる?育休中の免除条件もスッキリ解説!

6. その他、見落としがちなポイント

上記以外にも、給与計算で確認しておきたいポイントがいくつかあります。

  • 住民税の特別徴収額の変更: 6月からの新年度分が正しく適用されているか、念のため再確認しましょう。
  • 通勤手当の変更: 引っ越しなどによる通勤経路の変更に伴い、通勤手当の額に変更がないか確認が必要です。
  • 扶養家族の変更: 結婚、出産、独立などによる扶養家族の変更がないか、従業員からの申告を確認しましょう。
  • 育児休業等社会保険料免除の終了・開始: 育児休業の期間が終了したり、新たに開始したりする従業員がいないか確認し、社会保険料の免除が適切に適用・解除されているか確認しましょう。

Q&A:よくある疑問を解決!

Q: 算定基礎届を出し忘れたらどうなりますか?
A: 算定基礎届の提出は法律で義務付けられています。出し忘れた場合、会社に調査が入る可能性があり、過去に遡って社会保険料を徴収されることがあります。速やかに年金事務所に相談し、指示を仰ぎましょう。

Q: 夏季休暇中に給与を支払う場合と支払わない場合で、注意点はありますか?
A: まず、貴社の就業規則に夏季休暇の取り扱いがどのように明記されているかを確認することが重要です。有給休暇として取得させる場合は賃金支払い義務がありますが、特別休暇の場合は会社の規定によります。賃金を支払わない場合は、従業員への事前説明と同意がトラブル防止のために不可欠です。

まとめ

8月の給与計算は、定時決定や賞与、休暇の取り扱いなど、細やかな確認が求められる時期です。

正確な給与計算は、従業員のモチベーション維持だけでなく、会社の信頼を守る上でも非常に重要です。

もし「うちの会社の給与計算はこれで合っているのかな?」「社会保険の手続きが複雑でよく分からない…」といったお悩みがありましたら、ぜひ社労士事務所ぽけっとにご相談ください。

貴社の状況に合わせた最適なサポートをご提供し、経営者様が本業に集中できるようお手伝いいたします。


【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対する法的アドバイスではありません。実際の給与計算や社会保険手続きにおいては、必ず専門家にご相談いただくか、関係省庁の最新情報をご確認ください。本記事の内容によって生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。