「10進数・60進数」を確認しないと大変なことに!

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毎月の給与計算、正確さと効率化のために「給与計算ツール」の導入や入れ替えを考えている事業主の方も多いのではないでしょうか?

たくさんのツールがあって、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。「機能が豊富」「価格が安い」といった点ももちろん大切ですが、実はもっと重要な確認ポイントがあるんです。

それが、「時間の計算方法が10進数か60進数か」ということです。

「え?そんなこと?」と思われるかもしれませんが、ここを確認しないと、後々「計算が合わない!」「従業員に迷惑をかけてしまった…」なんてことになりかねません。

今回は、給与計算ツール選びで見落としがちな「10進数・60進数」問題について、分かりやすく解説します!

なぜ「10進数」と「60進数」の確認が必要なの?

給与計算、特に残業代などを計算する際には、「時間」の計算が必須ですよね。 私たちが普段使っている時間の単位は、ご存知の通り「60分=1時間」という60進数です。

ところが、給与計算ツールの中には、この時間を10進数で扱うものがあるのです。

例を見てみましょう

  • 1時間30分 の残業があったとします。
  • 60進数 で考えれば、そのまま「1時間30分」です。
  • これを 10進数 で表すと、「1.5時間」となります。(30分 ÷ 60分 = 0.5)

もし、時給1,000円の従業員が1時間30分残業した場合:

  • 正しい計算(60進数ベース)
    • 時給計算ツールが内部で60進数を正しく扱えるか、時間数を10進数(1.5時間)に変換してから計算する必要があります。
    • 1,000円 × 1.5時間 = 1,500円
  • 間違った計算(10進数ツールで単純入力した場合)
    • もしツールが10進数しか扱えず、「1.30」時間(1時間30分をそのまま入力)として計算してしまうと…
    • 1,000円 × 1.30時間 = 1,300円 (← 間違い!200円の未払い発生

このように、ツールが時間をどのように扱っているかを理解せずに使ってしまうと、残業代の計算ミスにつながる可能性が高いのです。

計算ミスが引き起こす怖い結果

たかが計算方法の違い、と侮ってはいけません。給与計算のミスは、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。

  1. 法律違反のリスク: 賃金の未払いは労働基準法違反となり、是正勧告や罰金の対象となる可能性があります。
  2. 従業員との信頼関係の損失: 給与は従業員の生活の基盤です。計算ミスが続くと、会社への不信感が募り、モチベーション低下や離職につながることも。
  3. 追加の事務負担: ミスが発覚した場合、過去に遡って修正計算や差額の支払いなど、余計な手間と時間が発生します。

せっかく業務効率化のためにツールを導入したのに、これでは本末転倒ですよね。

給与計算ツール選びで確認すべきこと

では、ツールを選ぶ際に具体的に何を確認すれば良いのでしょうか?

  • 時間の計算方法
    • 勤怠管理データ(特に時間)をどのように扱うか?(60進数でそのまま計算できるか、10進数に変換する必要があるか)
    • マニュアルやヘルプデスク、提供元に直接問い合わせて確認しましょう。「残業時間の計算は60進数に対応していますか?」と聞くのが確実です。
  • 勤怠管理システムとの連携
    • もし別の勤怠管理システムを使っている場合、そのシステムからのデータ(時間)を給与計算ツールが正しく読み込めるか確認が必要です。連携実績なども確認すると良いでしょう。
    • 特に、勤怠ツールから出力される時間のデータ形式(「HH:MM」のような60進数形式か、「1.5」のような10進数形式かなど)が、給与計算ツール側で正しく取り込める形式になっているか、事前にしっかり確認しましょう。
  • その他の機能
    • もちろん、社会保険料の自動計算、年末調整機能、法改正への対応なども重要なチェックポイントです。

【まとめ】ツール選びは慎重に!「時間計算」の仕様確認を忘れずに

給与計算は、事業運営の根幹に関わる重要な業務です。便利な給与計算ツールも、選び方を間違えると大きなトラブルの原因になりかねません。

特に、残業時間などの「時間」を扱う計算が、ツール内で「10進数」と「60進数」のどちらを基準に行われるのかは、必ず導入前に確認してください。

多くのツールは60進数に対応しているか、10進数での入力(例:1時間30分なら「1.5」と入力)を前提としていますが、まれに独自の仕様を持っているツールも存在します。

「安かったから」「有名だから」という理由だけで飛びつかず、自社の運用に合った、そして正確な計算ができるツールを慎重に選びましょう。

この記事が、あなたの会社にぴったりの給与計算ツール選びの一助となれば幸いです!