知らないと危ない!労働時間と休憩の落とし穴|労働基準法を味方につける勤怠管理術

「従業員の勤怠管理、正直ちょっと面倒だな…」 「最近、働き方改革とか法改正とか、いろいろ変わってて追いつけない…」
忙しい毎日の中で、従業員の労働時間や休憩時間の管理、後回しになっていませんか?
実は、この勤怠管理、「知らなかった」では済まされない落とし穴がたくさん潜んでいるんです。労働基準法に違反してしまうと、罰則だけでなく、従業員からの信頼を失い、会社の評判にも関わる大きな問題になりかねません。
でも、ご安心ください!今回は、労働基準法のキホンから、特に注意が必要なポイント、そして最新のツールを活用した効率的な管理方法まで、分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、
- 労働時間と休憩に関する労働基準法の重要ポイントがわかる!
- 「うっかり違反」を防ぎ、コンプライアンスリスクを回避できる!
- 勤怠管理の負担を減らし、もっと効率的に会社を運営できるヒントが見つかる!
ぜひ最後までお付き合いいただき、自社の勤怠管理を見直すきっかけにしてくださいね。
まずはキホンから!「法定労働時間」と「所定労働時間」って何が違うの?
よく聞く言葉ですが、意外と混同しやすいのがこの二つ。しっかり区別しておきましょう。
- 法定労働時間: これは、法律(労働基準法第32条)で定められた労働時間の上限のことです。原則として「1日8時間・週40時間」を超えて働かせてはいけない、というルールです 。従業員の健康を守るための、国が定めた絶対的なラインと考えてください。
- 所定労働時間: これは、会社が独自に定める労働時間、いわゆる「定時」のことです 。もちろん、法定労働時間の範囲内で設定する必要があります(例:9時~17時、休憩1時間で実働7時間など)。
ポイント: 法定労働時間を超えて働いてもらう場合(残業や休日出勤)は、必ず「36協定(サブロク協定)」という労使協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります 。これがないまま残業させるのは法律違反です!
次は「休憩時間」のルール!これも法律で決まっています
従業員にしっかりリフレッシュしてもらい、安全に働いてもらうために、休憩時間にもルールがあります(労働基準法第34条)。
休憩時間の「長さ」は労働時間で決まる!
法律で定められている最低限の休憩時間は以下の通りです 。
- 労働時間が6時間を超え、8時間以内の場合:少なくとも45分
- 労働時間が8時間を超える場合:少なくとも1時間(60分)
「以内」と「超える」がポイントです。
- 6時間ぴったりなら、休憩は法律上は不要です(もちろん、設けてもOK)。
- 8時間ぴったりなら、休憩は45分でOKです。
- でも、1分でも8時間を超えたら、休憩は合計1時間必要になります!ここ、すごく重要なので覚えておいてくださいね!
休憩時間の与え方にも「3つの原則」がある!
休憩時間をただ設ければ良いというわけではありません。与え方にも大切な原則があります。
- 途中付与の原則: 休憩は、必ず労働時間の「途中」に与えなければなりません 。始業前や終業後にまとめて与えるのはNGです。「休憩時間の分、早く帰っていいよ」というのも、法律上は休憩を与えたことになりません 。
- 自由利用の原則: 休憩時間は、従業員が完全に仕事から解放され、自由に利用できる時間でなければなりません 。休憩中に電話番や来客対応をお願いするのは、休憩時間とは認められません 。もし、そういった業務が発生した場合は、別途休憩を与える必要があります。
- 一斉付与の原則: 原則として、休憩は事業場の全従業員に一斉に与えなければなりません 。ただし、業務の都合上難しい場合は、労使協定を結べば交代で休憩を取ることも可能です。
【要注意!】「所定労働時間8時間・休憩45分」設定の思わぬ落とし穴
「うちは定時が8時間だから、休憩は45分で法律通りだよね?」 そう考えている事業主の方、ちょっと待ってください!その設定、実は大きなリスクをはらんでいる可能性があるんです。
先ほど説明した通り、労働時間が8時間ぴったりなら休憩は45分でOKです。しかし、もし1分でも残業が発生したらどうなるでしょう?
そうです、1日の労働時間が8時間を超えるので、必要な休憩時間は合計1時間(60分)に増えるのです!
つまり、普段45分の休憩しか与えていない場合、残業が発生した日には追加で15分の休憩を、残業が終わる前(労働時間の途中)に与えなければならないのです 。
「たった15分でしょ?」と思うかもしれませんが、これが意外と大変なんです。
- 管理が煩雑になる: 毎日、残業の有無を確認し、残業がある場合は追加休憩の取得を指示・管理する必要があります 。
- うっかり違反のリスクが高い: 忙しい中で追加休憩の指示を忘れたり、従業員が休憩を取らずに作業を続けてしまったり…といったことが起こりやすく、気づかないうちに法律違反を繰り返してしまう可能性があります 。
- 従業員の不満につながる可能性も: 残業で疲れているのに、短い休憩のために作業を中断しなければならないことに、不満を感じる従業員もいるかもしれません。
どうすればいいの?
リスクを回避し、管理をシンプルにするためには、最初から所定労働時間8時間の従業員には、休憩時間を1時間(60分)設定しておくことを強くお勧めします 。 例えば、お昼休憩を1時間にする(例:12:00~13:00)などです。こうすれば、多少の残業が発生しても、休憩時間については法律の要件を満たしているので、追加休憩の心配をする必要がなくなります。
【要注意!】「終業時刻ピッタリの休憩」は休憩じゃない!?
「残業に備えて、定時後に15分休憩を設定しているんだけど…」 これもよく聞くケースですが、注意が必要です。例えば、9:00~17:45(休憩12:00~12:45の45分)が所定労働時間で、17:45~18:00に「休憩」を設定している場合を考えてみましょう。
もし、従業員が17:45に定時で退社した場合…
この17:45からの15分間は、労働時間の「途中」ではないため、労働基準法上の「休憩時間」とは認められません 。単なる業務終了後の時間であり、これを休憩としてカウントすることはできません。
もし、従業員が17:45以降も残業した場合…
この場合は、1日の労働時間が8時間を超えるため、合計1時間の休憩が必要です。すでに昼休憩で45分取っているので、追加で15分の休憩が必要になります。 では、設定していた17:45~18:00の「休憩」は、この追加の15分として認められるのでしょうか?
答えは、「認められる可能性は低い、またはリスクが高い」です。
なぜなら、ここでも「途中付与の原則」が壁になるからです 。 この15分休憩が有効と認められるためには、残業時間を含めた総労働時間の「途中」である必要があります。例えば、18:15まで残業する場合、17:45~18:00はその「途中」と解釈できるかもしれませんが、終業間際に休憩をまとめて取るような運用は、休憩の本来の目的(疲労回復)にそぐわないと判断され、法律違反とみなされる可能性が高いのです 。 ましてや、18:00に残業を終えて、後から「17:45~18:00は休憩だったことにしよう」というのは、完全にNGです 。
どうすればいいの?
やはり、所定労働時間8時間の場合は、最初から休憩を1時間確保しておくのが最も安全で確実です。 もし、どうしても45分休憩で運用し、残業時の追加休憩が必要な場合は、残業が確定した時点で、残業が終わる「前」に、明確に15分の休憩を取得させるルールを徹底する必要があります 。例えば、「残業する場合は、17:30~17:45に必ず15分休憩を取る」といった具体的なルールを定め、従業員に周知し、確実に実行してもらう必要があります。
面倒な勤怠管理… 最新ツールでスマートに解決!
ここまで読んで、「やっぱり勤怠管理って複雑で大変…」と感じた方も多いのではないでしょうか? 特に、残業時の追加休憩の管理や、多様化する働き方への対応など、手作業での管理には限界があります。
そこでおすすめしたいのが、勤怠管理システムの活用です。
勤怠管理システムを使えば、
- 従業員の出退勤時刻や労働時間を正確に記録・集計できる
- 残業時間や休憩時間の計算を自動化できる
- 法改正にもスムーズに対応できる
- 人的ミスを防ぎ、コンプライアンスを強化できる
など、多くのメリットがあります。
マネーフォワードクラウド勤怠の新機能がすごい!
数ある勤怠管理システムの中でも、注目したいのが「マネーフォワードクラウド勤怠」です。 最近、このシステムに「契約時間の範囲外にも休憩時間を自動適用する機能」という、まさに事業主の悩みに応える新機能が追加されました!
これ、何がすごいの?
従来のシステムでは、通常、契約時間内(定時内)の休憩しか自動で設定・適用できませんでした。そのため、早出や残業が発生した場合の休憩時間は、従業員が手動で申請したり、管理者が後から入力したりする必要があり、手間がかかる上にミスも起こりやすかったのです。
しかし、この新機能を使えば、あらかじめ設定しておくだけで、早出や残業が発生した時間帯の休憩も自動で計算・適用してくれるんです!
例えば、
- 定時は9:00~18:00(休憩12:00~13:00)
- 就業規則で「18:00以降1時間の残業ごとに15分の休憩」と定めている
という会社の場合、この新機能で「18:00~19:00の間に15分休憩」といった設定をしておけば、従業員が19:00まで残業した場合、システムが自動で15分の休憩時間を差し引いて労働時間を計算してくれます。
この機能のメリットは?
- 残業時の休憩管理が劇的に楽になる!:追加休憩の指示漏れや計算ミスを防ぎ、コンプライアンスをしっかり守れます。
- 勤怠管理者の負担を大幅に削減!:手作業での休憩時間入力や修正の手間がなくなり、他の重要な業務に集中できます 。
- 従業員も安心!:休憩を取り忘れる心配がなくなり、適切に休息を取りながら働けます 。
設定も、「就業ルール」から「勤務パターン」を選び、「契約時間の範囲外に休憩時間を適用する」にチェックを入れて時間帯を指定するだけ、と比較的簡単に行えます 。 (※フレックスタイム制など、一部適用できない就業ルールもあるようなので、詳細はご確認ください 。)

【新機能を使う上での注意点:法的な原則は変わりません!】
この新機能、残業時の休憩管理の手間を減らすのにとても役立ちそうですよね! ただし、ここで一つ大切な注意点があります。
この記事では、「所定労働時間8時間なら、最初から休憩1時間にしておくのが一番安全でシンプルですよ」とお伝えしました。それは、たとえ1分でも残業すると「追加で15分の休憩を、労働時間の途中に与える」という法律のルールが発生し、その管理が大変で、うっかり違反のリスクも高いからです 。
マネーフォワードの新機能は、この「追加休憩の計算・適用」という管理の手間を自動化してくれる便利なツールです 。 しかし、この機能を使ったとしても、「追加休憩は、必ず残業が終わる前(労働時間の途中)に与えなければならない」という法律の原則(途中付与の原則)自体が変わるわけではありません 。
システムが自動で休憩時間を計算してくれても、実際に従業員が適切なタイミングで休憩を取っていなければ、法律違反になってしまう可能性は残ります。例えば、残業が終わった後にシステム上で休憩時間を適用しても、「労働時間の途中」に休憩を与えたことにはなりません 。
ですから、この新機能を利用する場合でも、
- やはり最も安全で確実なのは、最初から休憩時間を1時間確保しておく運用です。 これなら追加休憩の心配がありません 。
- もし「8時間・45分休憩」設定で新機能を活用する場合は、システム任せにせず、残業時には必ず「労働時間の途中」に追加休憩を取得させるよう、従業員への声かけやルールの徹底が引き続き重要になります。
ツールはあくまで管理を助けるもの。法律の根本的なルールを理解した上で、上手に活用していきましょう!
このように、最新の勤怠管理システムを活用することで、複雑なルールに対応しながら、効率的で正確な勤怠管理を実現できます。
【まとめ】正しい知識とツール活用で、安心できる職場環境を!
今回は、事業主の皆さまが押さえておくべき労働時間と休憩時間のルール、そして注意点について解説しました。
- 法定労働時間と所定労働時間の違いを理解する
- 休憩時間の長さと3つの原則(途中付与、自由利用、一斉付与)を守る
- 「所定労働時間8時間・休憩45分」設定のリスクを認識し、対策を講じる
- 終業時刻後の休憩は原則NGと理解する
- 勤怠管理システムを活用し、効率化とコンプライアンス強化を図る
これらのポイントを押さえることで、「知らなかった」では済まされないリスクを回避し、従業員が安心して働ける環境を整えることができます。
従業員がイキイキと働ける環境は、会社の成長に不可欠です。ぜひこの機会に、自社の勤怠管理体制を見直し、労働基準法を正しく理解し、適切な運用を心がけていきましょう。そして、マネーフォワードクラウド勤怠のような便利なツールも活用しながら、スマートで安心な会社経営を目指してくださいね!
【専門家によるサポートをご希望の事業主様へ】
「自社だけで勤怠管理や法改正への対応を進めるのは不安…」 「もっと効率的に、そして確実にコンプライアンスを守りたい」
もし、そうお考えでしたら、ぜひ私たち社労士事務所にご相談ください。
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