令和7年度の年度更新スタート!電子申請がお得?紙の申告書がなくなるって本当?社労士が徹底解説

こんにちは!社労士事務所ぽけっとです。
今年も労働保険の年度更新の時期がやってまいりました。経営者や人事ご担当者の皆様にとっては、年に一度の重要な手続きですね。「ああ、またこの時期か…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
今回のブログでは、
- そもそも年度更新って何?基本をおさらいしたい
- 今年の申告で気をつけることは?
- 最近よく聞く「電子申請」ってどうなの?
- 「紙の申告書が来年からなくなる」って聞いたけど本当?
といった疑問にお答えしながら、令和7年度の年度更新の基本と最新情報、そしてスムーズな手続きのコツを分かりやすく解説していきます。 特に、国が強く推奨している「電子申請」については、今後の動向も含めて詳しくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「年度更新」とは?基本をおさらい
まずは基本の確認から。「年度更新」とは、労働保険(労災保険と雇用保険)の保険料を正しく計算し直し、確定・申告・納付する手続きのことです。
前年度に支払った労働保険料は、概算(見込み)で納めています。そのため、年度末に実際に支払った賃金総額をもとに確定保険料を計算し、その差額を調整(不足していれば追加納付、多ければ還付または充当)します。同時に、新年度の概算保険料も申告・納付します。
これが毎年6月1日から7月10日(※曜日の関係で変動あり)の間に原則として行われる「年度更新」です。
なぜ年度更新が必要なの?
- 労働者の万が一の労災事故や失業に備える大切な保険制度の財源となるため。
- 正確な保険料を納めることで、適正な保険給付を担保するため。
- 法律で定められた事業主の義務であるため。
対象となる労働保険は?
- 労災保険(労働者災害補償保険): 業務中や通勤中のケガ、病気、死亡などに対して保険給付を行う制度です。原則として、労働者を一人でも使用していれば加入義務があります。
- 雇用保険: 労働者が失業した場合や育児・介護休業を取得した場合などに給付を行う制度です。一定の要件を満たす労働者を雇用していれば加入義務があります。
申告・納付期間を確認しましょう
令和7年度の年度更新の申告・納付期間は、令和7年6月2日(月)から令和7年7月10日(木)までとなっています。 (※管轄の労働局や年金事務所の情報を必ずご確認ください。)
期限を過ぎてしまうと、追徴金や延滞金が課される場合がありますので、早めの準備を心がけましょう。
大注目!「電子申請」がますます便利に、そして主流へ
さて、ここからが今回の本題とも言える「電子申請」についてです。
近年、国は行政手続きのデジタル化を強力に推進しており、労働保険の年度更新手続きにおいても電子申請の利用が強く推奨されています。
電子申請のメリットは?
- 24時間いつでも申請可能: 窓口の開庁時間や郵便局の営業時間を気にする必要がありません。
- 手続きの効率化・時間短縮: 入力補助機能などがあり、手書きよりもスムーズに作成できます。郵送の手間も省けます。
- コスト削減: 郵送料や移動費がかかりません。
- 進捗状況の確認が容易: 申請後の処理状況をオンラインで確認できます。
- 公文書も電子データで受け取れる: 控えや決定通知書などを電子的に保管・管理できます。
【重要】電子申請義務化と「紙の申告書」送付廃止の動き
特に注目すべきは、電子申請の利用が一部の事業所ではすでに義務化されている点です。
- 資本金が1億円を超える法人
- 相互会社、投資法人、特定目的会社
これらの事業所では、年度更新も含む特定の社会保険手続きについても電子申請が義務付けられています。
そして、さらに重要な動きとして、電子申請が義務化されている事業所に対しては、来年度(令和8年度)の年度更新から、例年送付されている紙の申告書や納付書の郵送がなくなるとの情報が入ってきています。
これは、国が電子申請への移行をさらに加速させようとしていることの表れと言えるでしょう。 現在は対象外の事業所であっても、将来的には同様の流れになる可能性も否定できません。
「うちはまだ紙で大丈夫」と考えている事業所様も、今のうちから電子申請に慣れておくことを強くおすすめします。いざという時に慌てないためにも、早めの準備が肝心です。
電子申請、どうやって始めるの?
電子申請は、政府が運営する「e-Gov(イーガブ)」というシステムを利用して行います。 初めて利用する場合は、アカウント作成や電子証明書の準備などが必要になることがあります。
「なんだか難しそう…」と感じるかもしれませんが、一度設定してしまえば、次回以降の手続きは格段に楽になります。
年度更新の一般的な手続きの流れ
- 申告書類の準備:
- 労働局から「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」(緑色の封筒で届くことが多いです)や賃金集計表などが送られてきます。
- 電子申請の場合も、これらの書類に記載されている情報(労働保険番号など)が必要です。
- 賃金総額の集計:
- 前年度(令和6年4月1日から令和7年3月31日まで)に支払った全労働者の賃金総額を正確に集計します。賞与や各種手当も含まれますのでご注意ください。
- 保険料の算定:
- 集計した賃金総額に、業種ごとに定められた保険料率を掛けて、確定保険料と新年度の概算保険料を計算します。
- 申告書の作成:
- 計算結果を申告書に記入します。電子申請の場合は、システム上で入力します。
- 申告・納付:
- 作成した申告書を管轄の労働局、労働基準監督署、または金融機関の窓口に提出(郵送も可)、もしくは電子申請システムで送信します。
- 算定された保険料を納付します(口座振替、金融機関窓口、電子納付など)。
年度更新でよくあるQ&A
Q1. 申告書はいつ頃届きますか?
A1. 例年5月末から6月初旬にかけて、管轄の労働局から郵送されます。電子申請が義務化されている事業所は、前述の通り今後送付されなくなる可能性があります。
Q2. 書き方がよく分かりません。どこに相談すればいいですか?
A2. 管轄の労働局や労働基準監督署に問い合わせ窓口が設けられています。また、私たち社会保険労務士にご相談いただければ、専門的なアドバイスや手続きの代行が可能です。
Q3. 期限に遅れてしまったら、どうなりますか?
A3. 政府から督促が行われ、それでも納付しない場合は延滞金が課されることがあります。また、年度更新の手続きを怠ると、職権による認定決定が行われ、追徴金が課される場合もあります。
Q4. 電子申請を始めたいけど、パソコン操作が苦手です…
A4. 厚生労働省のウェブサイトやe-Govのヘルプデスクで操作マニュアルが公開されています。また、社労士事務所の中には電子申請の導入サポートを行っているところもありますので、お気軽にご相談ください。当事務所でもサポート可能です。
面倒な年度更新は専門家にお任せも!社労士に依頼するメリット
年度更新は、年に一度とはいえ、賃金計算や書類作成など、手間と時間がかかる業務です。特に、法改正があった場合や、イレギュラーな雇用形態の従業員がいる場合などは、計算が複雑になることも。
そんな時は、労働保険・社会保険の専門家である社会保険労務士(社労士)に手続きを委託することも有効な選択肢です。
社労士に依頼するメリット
- 正確かつ迅速な手続き: 専門知識に基づき、ミスなくスピーディーに処理します。
- 担当者の負担軽減: 面倒な計算や書類作成から解放され、コア業務に集中できます。
- 法改正への的確な対応: 最新の法令情報を把握し、適切に対応します。
- 電子申請にもスムーズに対応: 電子申請の代行も可能です。
- 労務管理全般に関する相談も可能: 年度更新だけでなく、日々の労務問題についてもアドバイスを受けられます。
社労士事務所ぽけっとでは、お客様の状況に合わせた丁寧なサポートを心がけております。令和7年度の年度更新の手続きでお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
【まとめ】早めの準備と正確な申告を!
今回は、令和7年度の年度更新の基本情報と、ますます重要度が増す電子申請について解説しました。
特に、電子申請義務化対象事業所における紙の申告書送付廃止の動きは、今後の行政手続きのデジタル化を象徴するものです。対象外の事業所様も、今のうちから電子申請への移行を検討してみてはいかがでしょうか。
年度更新は、従業員の安心を守り、健全な企業経営を続けるために不可欠な手続きです。期限内に、正確な内容で申告・納付を行いましょう。
「うちの会社の場合はどうなるの?」
「電子申請、具体的に何から始めればいい?」
「やっぱり専門家に任せたい…」
そんなお悩みやご要望がございましたら、どうぞお気軽に社労士事務所ぽけっとまでお問い合わせください。お手伝いさせていただきます。
免責事項
この記事は、令和7年6月現在の情報に基づいて作成されています。法改正などにより、情報が変更される可能性があります。実際の手続きにあたっては、必ず管轄の行政機関や専門家にご確認ください。当記事の情報を利用したことによって生じた損害等について、当事務所は一切の責任を負いかねますのでご了承ください。