【2025年6月版】給与計算担当者様へ!今月やるべき重要タスクと確認ポイントを徹底解説!

新年度が始まって2ヶ月が経ち、少し落ち着いてきた頃でしょうか。しかし、給与計算ご担当者様にとって6月は、年に一度の重要なタスクが重なる、気の抜けない月です。
特に「住民税の年度更新」は、全従業員に関わる最重要イベントです。その他にも、夏の賞与計算や労働保険の年度更新など、間違いが許されない業務が目白押し。
「何から手をつければいいの?」「去年どうやったか忘れてしまった…」
そんなご担当者様のために、2025年6月にやるべきことを、分かりやすく、順を追って徹底解説します!この記事をチェックリスト代わりに、一つずつ確実にタスクをこなしていきましょう。
【最重要】タスク1:住民税の年度更新!6月給与から新税額を適用しよう
6月の給与計算で最も重要かつ緊急性の高いタスクが、住民税(個人住民税)の特別徴収税額の変更です。
5月中旬から下旬にかけて、各市町村から「令和7年度 給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」という書類が会社に届いているはずです。この通知書に基づき、2025年6月に支給する給与から、新しい税額で住民税を天引き(特別徴収)する必要があります。
確認ポイントとアクション
- 通知書の確認と仕分け
- 事業主用と納税義務者用(従業員用)の2種類が同封されています。
- まずは「事業主用」で、記載されている従業員に退職者や休職者が含まれていないか、氏名や住所に誤りがないかを確認しましょう。
- もし退職者が記載されていた場合は、速やかに市町村へ「給与所得者異動届出書」を提出する必要があります。
- 給与計算ソフトへの登録
- 通知書に記載された「6月徴収額」と「7月以降の徴収額(月割額)」を、従業員一人ひとり正確に給与計算ソフトへ登録します。
- 多くの場合、6月分のみ金額が異なり、7月~翌年5月までは同額となります。入力ミスが起こりやすいポイントなので、ダブルチェックを徹底しましょう。
- 従業員への配布
- 圧着式のハガキや封筒に入った「納税義務者用」の通知書は、開封せずにそのままの状態で、速やかに従業員一人ひとりへ配布してください。これは個人の所得に関する非常に重要な情報です。渡し忘れがないように注意しましょう。
ワンポイントアドバイス
住民税の通知書は、従業員さんにとって「自分の税金がどう決まったのか」を知るための大切な書類です。特にふるさと納税をされた方などは、控除額が正しく反映されているか気にされています。配布する際に「住民税の新しい通知書です」と一言添えるだけで、従業員さんの安心感に繋がりますよ。
タスク2:夏の賞与計算と「賞与支払届」の提出
6月は夏の賞与(ボーナス)を支給する企業も多いのではないでしょうか。賞与計算は毎月の給与計算とは異なる点が多く、注意が必要です。
確認ポイントとアクション
- 社会保険料の計算
- 賞与からも、毎月の給与と同じように健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上64歳まで)が控除されます。
- 計算方法は、賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、各保険料率をかけて算出します。
- 毎月の給与とは異なり、折半する前の総額で計算する点に注意しましょう。
- 雇用保険料の計算
- こちらはシンプルに、賞与の総支給額に雇用保険料率をかけて算出します。
- 源泉所得税の計算
- 賞与の源泉所得税は、少し特殊な方法で計算します。
- 前月の給与(社会保険料控除後)の金額を基準に、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から税率を求め、賞与の課税対象額(社会保険料控除後)に乗じて算出します。
- 前月の給与が欠勤などで通常より著しく低かった場合など、例外的な対応が必要になることもあります。
- 「賞与支払届」の提出
- 賞与を支払ったら、支払日から5日以内に管轄の年金事務所へ「被保険者賞与支払届」を提出する必要があります。この届出を忘れると、将来従業員が受け取る年金額に影響が出てしまう可能性があるため、絶対に忘れてはいけません。
タスク3:労働保険の年度更新の準備
「年度更新」と聞くと、経理担当者の仕事だと思われるかもしれません。しかし、その申告の基礎となる賃金データを準備するのは、給与計算ご担当者様の重要な役割です。
労働保険の年度更新とは、前年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の保険料を確定させ、新年度(2025年4月1日~2026年3月31日)の概算保険料を申告・納付する手続きのことです。
今年の申告・納付期間:2025年6月2日(月)~7月10日(木)
給与計算担当者がやるべきこと
- 賃金総額の集計: 2024年4月~2025年3月までに支払った賃金の総額を正確に集計します。この「賃金」には、基本給や手当だけでなく、賞与や通勤手当(非課税分も含む)なども含まれるため、集計漏れがないように注意が必要です。
- 対象者の分類: 集計した賃金を、「労災保険の対象者」と「雇用保険の対象者」に分けておく必要があります。役員など、雇用保険に加入していない人の賃金は別途分けておきましょう。
このデータが不正確だと、保険料の追徴や還付といった余計な手間が発生してしまいます。経理担当者や経営者の方と連携し、早めに準備を進めましょう。
【豆知識】2025年から変わる「年収の壁」
6月の給与計算実務とは直接関係ありませんが、扶養内で働くパート・アルバイトさんから質問が増えるかもしれない法改正について、少しだけ触れておきます。
2025年分の所得税から、基礎控除と給与所得控除が引き上げられます。これにより、所得税がかからなくなる年収の上限、いわゆる「103万円の壁」が実質的に「160万円の壁」に変わります。(※諸条件により変動します)
この改正が実際に給与計算に影響するのは、2025年(令和7年)の年末調整からです。 6月の現時点で何か設定を変える必要はありませんが、「制度が変わるらしい」という情報から従業員さんが不安に思う可能性もあります。もし質問されたら、「年末調整のタイミングで変わるものなので、今は大丈夫ですよ」とお伝えできると親切ですね。
【まとめ】6月は連携とダブルチェックが成功のカギ!
6月の給与計算は、
- 住民税の年度更新
- 夏の賞与計算
- 労働保険の年度更新準備
と、年に一度の重要タスクが満載です。どれも従業員の生活や会社の手続きに直結するため、ミスは許されません。
一人で抱え込まず、経理担当者や上司としっかり連携を取り、入力作業の後は必ずダブルチェックを行う癖をつけましょう。
もし、「住民税の通知書の見方がよくわからない」「賞与計算が合っているか専門家に見てほしい」「年度更新の賃金集計が大変…」など、少しでも不安なことがあれば、私たち社会保険労務士にご相談ください。専門家の視点から、貴社の給与計算を正確かつスムーズに進めるお手伝いをいたします。