健康保険証廃止から半年、その運用で大丈夫?「資格確認書」の取扱いを再点検!

【2025年版】資格確認書の運用、再点検しませんか?

こんにちは!
社労士事務所ぽけっとです。

2024年12月2日に健康保険証の新規発行が停止されてから、早半年が経ちました。
企業の経営者様や人事ご担当者様も、日々の業務の中で「マイナ保険証」や「資格確認書」の取扱いに少しずつ慣れてこられた頃ではないでしょうか。

一方で、「入社時の案内はこれで合っているかな?」「退職者から資格確認書を回収し忘れたかも…」といった、運用上の細かな不安や疑問の声も耳にするようになりました。

そこで今回は、制度開始から半年経った今だからこそ確認したい「資格確認書」の運用ルールと注意点について、改めておさらいしていきましょう!

何が変わったんだっけ?

まずは基本の確認です。
昨年12月から、私たちの健康保険の仕組みは大きく変わりました。

  1. 健康保険証の新規発行が終了 → 新しく入社した方や紛失した方に、従来のカード型保険証は発行されなくなりました。
  2. 医療機関での受診は「マイナ保険証」が基本に → マイナンバーカードを保険証として利用することが、国の基本方針となりました。
  3. マイナ保険証がない方には「資格確認書」を発行 → マイナンバーカードを持っていない、または保険証利用登録をしていない方には、保険証の代わりとなる「資格確認書」が自動で交付されています。

お手元にある有効期限内の健康保険証は引き続き使えますが、この3つの変更点が現在の基本ルールです。

資格確認書の運用、再点検リスト!

制度開始後の実務で、特に注意が必要なポイントをリストアップしました。自社の運用と照らし合わせてみてください。

□ 1. 入社時の手続きは万全?

新しい従業員が入社した際、正しく案内できていますか?

  • マイナ保険証の登録状況の確認: まずは、本人がマイナンバーカードの保険証利用登録を済ませているかを確認しましょう。登録済みであれば、本人はマイナ保険証で受診できます。
  • 資格確認書の交付案内: 未登録の場合、後日、保険者(協会けんぽ、健康保険組合など)から本人宛に「資格確認書」が直接郵送されます。(※一部の健保組合では会社経由の場合もあります)。従業員から「いつ届きますか?」と質問されたら、保険者から直接届く旨を伝えましょう。
  • 「届かない」と相談されたら: もし従業員から「待っていても資格確認書が届かない」と相談があった場合は、加入手続きが完了しているか確認の上、管轄の年金事務所や健康保険組合に問い合わせるよう案内してください。

□ 2. 退職時の「資格確認書」回収、忘れていませんか?

これは非常に重要なポイントです。
退職時には、本人および被扶養者全員分の「健康保険証(有効期限内のもの)」と「資格確認書(交付されている場合)」の両方を必ず回収してください。

資格確認書の回収を忘れると、退職後も誤って使用されてしまい、後日、企業に医療費の返還請求が来る可能性があります。トラブルを未然に防ぐためにも、回収は徹底しましょう。(※マイナ保険証は回収不要です)

□ 3. 在職中の管理は大丈夫?

  • 紛失・き損した場合: 従業員が資格確認書をなくしたり、汚したりした場合は、速やかに保険者へ連絡し、再発行の手続きを取るよう案内してください。
  • 有効期限の確認: 資格確認書の有効期限は最長5年です。期限が近づくと新しい資格確認書が自動で交付されるのが基本ですが、従業員自身にも有効期限を確認しておくよう促すと、より丁寧です。

現場でよく聞かれる質問(Q&A)

この半年で、私たちがお受けしたご質問の中から、特に多かったものをご紹介します。

Q1. 従業員が「やっぱりマイナ保険証を使いたい」と言ってきました。会社で何か手続きは必要ですか?

A1. 会社側で特別な手続きは不要です。従業員ご自身で、スマートフォンアプリ「マイナポータル」や、セブン銀行ATM、医療機関の顔認証付きカードリーダーなどから保険証利用の登録が可能です。その方法を案内してあげてください。利用登録が完了すれば、資格確認書は不要になります。

Q2. 扶養に入っている家族の資格確認書は、誰が受け取るのですか?

A2. 被保険者である従業員本人(世帯主)宛に、家族(被扶養者)の分もまとめて郵送されるのが一般的です。

Q3. 資格確認書を忘れて病院にかかった場合、どうなりますか?

A3. 医療機関の窓口で保険資格を確認できないため、一旦、医療費を全額(10割)自己負担で支払うことになる可能性があります。後日、保険者に申請すれば自己負担分を除いた額が払い戻されますが、一時的な負担が大きくなるため、必ず持参するよう従業員に周知しましょう。

まとめ

今回は、健康保険証廃止後の「資格確認書」の運用について、おさらいと注意点を解説しました。

  • 入社時: マイナ保険証の登録状況を確認し、資格確認書の流れを正しく案内する。
  • 退職時: 「資格確認書」の回収漏れは絶対に防ぐ!
  • 在職中: 紛失時や有効期限について、従業員からの質問に答えられるようにしておく。

制度が新しくなって、日々の労務管理に細かな気配りが求められるようになりました。
社労士事務所ぽけっとは、こうした法改正後の実務運用に関するお悩みや、就業規則の見直し、従業員への説明資料作成のサポートなど、企業の皆様の「困った」に寄り添い続けます。

「うちの運用、本当にこれで大丈夫かな?」と少しでも感じたら、いつでもお気軽に私たちにご相談ください。


【免責事項】
本記事は、2025年6月時点の公開情報に基づき作成しています。法改正等の詳細については、必ず日本年金機構や厚生労働省の最新情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。本記事の情報を用いて行う一切の行為について、当事務所は何ら責任を負うものではありません。