知らぬ間に法令違反? 給与計算で事業主が陥りやすい5つのミスと対策

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毎月の「給与計算」、正確に行えていますか?

従業員にとって給与は生活の基盤であり、会社にとっては信頼の証。しかし、給与計算は社会保険や税金、労働基準法など多くのルールが絡み合い、非常に複雑です。「うっかりミス」が、後々大きなトラブルや追加コストにつながることも少なくありません。

今回は、多くの事業主様が見落としがちな「給与計算のよくあるミス」を5つピックアップし、分かりやすく解説します。自社の給与計算は大丈夫か、ぜひチェックしてみてください!

ミス1:残業代の計算が間違っている

最も多いミスの一つが「残業代」の計算です。

  • 割増率の間違い: 時間外労働、休日労働、深夜労働でそれぞれ割増率が異なります。特に月60時間を超える時間外労働の割増率(50%以上)は見落としがちです。
  • 計算基礎額の間違い: 残業代の計算基礎となる賃金から除外できる手当(通勤手当、家族手当など)と、含めなければならない手当があります。この区別を誤ると、支給額が変わってきます。
  • 固定残業代(みなし残業代)の運用ミス: 固定残業代を導入していても、それを超える残業には別途支払いが必要です。また、最低賃金を下回っていないかの確認も必須です。

【対策】 労働基準法で定められた割増率や計算方法を再確認しましょう。勤怠管理システムと給与計算ソフトを連携させると、計算ミスを減らせます。もし計算方法や運用に少しでも不安があれば、私たち専門家にご相談ください。正確な計算でリスクを回避しましょう。

ミス2:社会保険料の計算・手続きが漏れている

従業員のライフイベント(入社、退社、昇給、育休など)に伴う社会保険の手続き漏れや、保険料の計算ミスも頻繁に起こります。

  • 加入・喪失手続きの遅れ: 本来加入すべき従業員を加入させていなかったり、退職者の資格喪失手続きが遅れたりするケースです。
  • 標準報酬月額の認識違い: 社会保険料は「標準報酬月額」を基に計算されますが、この決定・改定(定時決定、随時改定)のルールを誤解していると、保険料が変わってしまいます。
  • パート・アルバイトの加入判断ミス: 一定の条件を満たすパート・アルバイトも社会保険への加入が必要です。この条件確認が漏れることがあります。

【対策】 従業員の入社・退社時、給与額が大きく変動した(昇給・降給)際には、社会保険の手続きが必要かどうか必ず確認しましょう。日本年金機構などの公式サイトで最新情報をチェックする習慣も大切です。

ミス3:所得税・住民税の源泉徴収額が違う

毎月の給与から天引きする所得税や、翌年度に徴収する住民税の計算ミスも起こりやすいポイントです。

  • 扶養控除等申告書の確認漏れ: 従業員から提出される扶養控除等申告書の内容(扶養親族の増減など)が反映されず、古い情報のまま税額を計算してしまうケース。
  • 税額表の見間違い: 所得税の計算に使う「源泉徴収税額表」の見方を間違え、異なる税額を徴収してしまう。
  • 住民税の特別徴収額の変更漏れ: 年度の途中で退職した従業員の住民税徴収方法の変更(特別徴収から普通徴収へ)手続き漏れなど。

【対策】 年末調整時だけでなく、従業員の扶養状況に変化があった際は速やかに情報を更新しましょう。税額表は国税庁のウェブサイトで確認できます。給与計算ソフトを利用すると、税額計算の自動化が可能です。

ミス4:各種手当・控除の適用漏れ・誤り

通勤手当、役職手当、資格手当など、会社独自の手当や、財形貯蓄、団体保険料などの控除項目でミスが発生することもあります。

  • 通勤手当の非課税限度額オーバー: 交通手段によって定められている非課税限度額を超えて支給している場合、超えた分は課税対象となります。
  • 手当の支給条件の確認漏れ: 役職が変わったのに役職手当が変更されていない、特定の資格手当の支給条件を満たさなくなったのに支給が続いている、など。
  • 控除額の変更忘れ: 従業員が加入している団体保険の保険料が変わったのに、控除額が古いままになっている。

【対策】 就業規則や賃金規程で定めた手当・控除のルールを定期的に確認しましょう。従業員情報の変更(住所変更、役職変更など)があった際は、関連する手当・控除も見直すようにします。

ミス5:勤怠管理との連携ミス・入力ミス

給与計算の基礎となる勤怠データ(労働時間、欠勤日数など)の入力ミスや、勤怠管理システムからのデータ連携ミスも、給与額の誤りにつながります。

  • 打刻漏れ・修正ミス: タイムカードや勤怠システムでの打刻漏れ、あるいは修正内容の反映ミス。
  • 手入力による転記ミス: 勤怠データを給与計算ソフトへ手入力する際の単純な入力間違い。
  • 休暇・欠勤の集計ミス: 有給休暇、特別休暇、欠勤などの日数を誤って集計してしまう。

【対策】 勤怠管理を正確に行うことが大前提です。可能であれば、勤怠管理システムと給与計算ソフトを連携させ、手入力作業を減らすのが効果的です。従業員自身にも打刻や勤怠状況の確認を促しましょう。

まとめ:正確な給与計算で、従業員との信頼関係を守ろう!

いかがでしたでしょうか? 給与計算は、従業員の生活と会社の信頼に直結する重要な業務です。複雑で間違いやすい部分も多いですが、基本的なルールを確認し、チェック体制を整えることで、ミスは大幅に減らせます。

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