選択制DC導入のメリット・デメリットと給与計算の落とし穴

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最近、「選択制DC」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか? 従業員の福利厚生を手厚くし、会社の魅力アップにも繋がる制度として注目されていますが、導入を検討する上で「どんなメリット・デメリットがあるの?」「給与計算はどうなるの?」といった疑問をお持ちの事業主様も多いかと思います。

そこで今回は、事業主様向けに、選択制DCの概要からメリット・デメリット、そして特に注意が必要な給与計算上のポイントまで、分かりやすく解説します!

そもそも選択制DCとは?

選択制DC(確定拠出年金)とは、簡単に言うと、従業員が自身の給与の一部を、給与として受け取るか、確定拠出年金の掛金として拠出するかを選べる制度のことです。

従業員は、将来の資産形成のために、会社の制度を利用して計画的に積立を行うことができます。

選択制DC導入のメリット

従業員のメリット

  1. 掛金が全額所得控除の対象に! 従業員が拠出した掛金は、全額が所得控除の対象となります。つまり、所得税・住民税が軽減されるという大きなメリットがあります。給与として受け取るよりも、手取り額は減りますが、税負担が軽くなるため、実質的な手取りが増えるケースもあります。
  2. 社会保険料の負担軽減 拠出した掛金は、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の算定基礎となる標準報酬月額から除外されます。これにより、従業員の社会保険料負担も軽減されます。
  3. 将来のための資産形成 税制優遇を受けながら、効率的に老後資金などの資産形成を進めることができます。運用益も非課税になるなど、長期的な資産形成に適した制度です。

事業主(会社)のメリット

  1. 社会保険料の負担軽減 従業員のメリットと同様に、会社負担分の社会保険料も軽減されます。従業員が拠出した掛金分が標準報酬月額から除かれるため、会社が負担する社会保険料も削減できるのです。これは、会社にとって直接的なコスト削減に繋がります。
  2. 福利厚生の充実による人材確保・定着 従業員の資産形成を支援する制度を導入することで、福利厚生が充実し、従業員満足度の向上が期待できます。これは、優秀な人材の確保や定着にも繋がる重要な要素です。

選択制DC導入のデメリット・注意点

従業員のデメリット・注意点

  1. 原則60歳まで引き出せない 拠出した掛金とその運用益は、原則として60歳になるまで引き出すことができません。急な出費が必要になった場合でも、簡単には引き出せない点に注意が必要です。
  2. 運用リスクがある 確定拠出年金は、加入者自身が運用商品を選び、その運用成果によって将来受け取る年金額が変わります。元本保証のない商品を選ぶと、運用次第では元本割れする可能性もあります。
  3. 社会保険料の軽減による将来の年金受給額への影響 社会保険料の負担が軽減されるということは、将来受け取る厚生年金額が、掛金を拠出しなかった場合と比較して若干少なくなる可能性があることも理解しておく必要があります。

事業主(会社)のデメリット・注意点

  1. 制度導入・運営の手間 制度の導入には、規約の作成や従業員への説明など、一定の手間とコストがかかります。また、導入後も加入手続きや掛金の管理などの運営業務が発生します。
  2. 給与計算が複雑になる! ここが最大の注意点です! 従業員が拠出する掛金は、給与計算上、「給与」とはみなされません。そのため、社会保険料の計算対象から除外する必要があります。
  • 標準報酬月額の計算: 従業員ごとに拠出額が異なる場合、それぞれの標準報酬月額を正しく計算し直す必要があります。
  • 所得税・住民税の計算: 掛金は所得控除の対象となるため、年末調整などで正確に反映させる必要があります。
  • 給与明細への表示: 拠出額や控除額などを、従業員に分かりやすく給与明細に記載する必要があります。

これらの計算を誤ると、社会保険料の納付額に過不足が生じたり、従業員の税額計算に間違いが生じたりする可能性があります。特に、社会保険料の計算ミスは、後々、年金事務所などからの指摘を受け、遡って修正・納付が必要になるなど、大きな手間と問題に発展しかねません。

    給与計算、大丈夫ですか? 複雑な計算はプロにお任せください!

    選択制DCは、従業員・会社双方にメリットの大きい魅力的な制度ですが、その一方で、給与計算が非常に複雑になるという側面があります。

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    当事務所では、選択制DC導入に伴う複雑な給与計算はもちろん、日々の給与計算業務のアウトソーシングを承っております。

    当事務所に給与計算をお任せいただくメリット

    • 正確・迅速な給与計算: 経験豊富な社労士が、法改正にも迅速に対応し、選択制DCの掛金控除や社会保険料計算などを正確に行います。計算ミスによるリスクを回避できます。
    • 業務負担の軽減: 煩雑な給与計算業務から解放され、事業主様は本来のコア業務に集中できます。
    • コスト削減: 給与計算ソフトの導入・維持費用や、担当者の人件費・教育コストを削減できます。
    • 専門家による安心サポート: 労務に関する様々なご相談にも対応可能です。選択制DCの導入支援から、就業規則の整備、助成金の活用まで、幅広くサポートいたします。

    選択制DCの導入検討や、現在の給与計算業務にお悩みでしたら、ぜひ一度、社労士事務所ぽけっとにご相談ください。

    今回は、選択制DCのメリット・デメリット、そして給与計算上の注意点について解説しました。従業員の資産形成を支援し、会社の魅力向上にも繋がる制度ですが、給与計算の複雑化には十分な注意が必要です。専門家である社労士にご相談いただくことで、安心して制度を導入・運用することができます。ぜひ、お気軽にご相談ください。